第482話 聖女信仰派 上
わたしが思うに公爵は他国と繋がっている。
国賊ってほど腐っているわけではなく、聖女を喚びたい一派なのでしょう。
前の聖女が喚ばれて数百年。そろそろ血も薄くなっているはずだ。ここらで新たな聖女の血をまぜておきたいってことなんじゃないかしら?
ゴズメ王国は守護聖獣を是としながら聖女信仰もあったりする。
聖女信仰派からしたら守護聖獣は役に立たないと思っているんじゃないかしらね? 実際、タルル様の力では渦の存在を感知できるていどだからね。
確かに渦に対しては役に立たないかもしれないけど、政治は渦だけを見ているわけにはいかないもの。守護として王国の上に立っていてくれたら国を纏めやすいものだわ。
ただ、その上に立つものが気に入らないってだけ。聖女信仰が立ったところで次は聖女信仰が気に入らないと排除されるだけだわ。
んなもんどっちでもいいやろ。
と思うのは他国だからでしょう。その辺、コルディーはよくやっているわ。まあ、だからって問題がないわけじゃないけどね。
「……どうやっても面倒事は起きるものね……」
「諸行無常だな」
「どこの言葉ですか?」
諸行無常って仏教用語でしょ。いや、この世界が漫画や小説の世界を元にしていたら突っ込んでも仕方がないけどさ。
「古い言葉だ。世は変わらず動き繰り返す。やがては滅びるという意だな」
諸行無常を訳したヤツ誰だよ? もっと正確に訳して伝えなさいよ。
「どうするのだ?」
「あちらがどうかしない限り、こちらからどうすることもありませんよ。聖女信仰派──としておきますけど、聖女を喚ぶには大義名分が必要です。強行するにしても召喚の儀を知る者は限られてきます。その者に睨みをかけておけば強行されても阻止することは可能ですよ」
やるならやってみろ。こちらとしてはありがたい限りだわ。元を断つことができるんだからね。
「まあ、念のため聖女召喚の儀は残しておくのもいいでしょう。遥か未来にわたしはいませんからね」
世界樹の巫女も廃れているかもしれない。未来のために保険をかけておくのもいいでしょうよ。
「問題の先送りか」
「究極の二択を決める権利はわたしにはありません。それはゴズメ王国が持つものです」
まっ、わたしは別の選択肢を選ぶけどね。
「そなたは厳しいのか優しいのかわからんヤツだ」
「わたしはわたしのために。そして、王国のために動いているだけです。関係がないのなら沈黙を選びますよ」
すべてはおっぱいの──じゃなくておっぱいの──うん、まあ、おっぱいのためにやってます。それがなにか? ビバ、おっぱい。わたしの原動力はおっぱいなのよ。文句あっか?
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