第10章
第476話 ムゼング公爵領 上
わたし、海を見に出たはずなのになにやってんだろう?
マルジング伯爵領から速やかに立ち去り、馬車の中で報告書作成をしながら考えてしまう。
まあ、移動中はやることもないし、外を眺めるかおしゃべりするかしない。これはこれで時間潰しになるけど、飽きるのもまた事実。報告書作成はいい時間潰しになる。
ただまあ、ふと考えてしまうのもまた事実。旅の間の娯楽を考えておかないと旅嫌いになっちゃうわね。
「お嬢様。そろそろお昼になります」
アマリアに言われて外に目を向けたら畑が広がっていた。
……もうマルジング伯爵領から出てルーベンス伯爵領に入ったみたいね……。
馬車をどこに停めるかはライルス様に任せてある。今回は特になかったようで道の途中でお昼休みとなった。
「これをライルス様に渡してきてちょうだい。内容の確認をしてもらってきて」
アマリアにお願いし、外に出た。
「……いい天気ね……」
もう秋も半ばは過ぎているのにまだポカポカ陽気だ。このまま昼寝したい気分ね。
食事は出来合いのもを食べるので、すぐに用意され、ルーセル様や巫女たちと同じテーブルでいただいた。
「チェレミー嬢、よろしいか?」
食休みをしていると、ライルス様がやってきた。
「構いませんよ」
「報告書は読ませてもらった。これはこのまま出してよいものか?」
「ええ、構いませんよ。マルジング伯爵には手紙を出したのですか?」
「出した。まだ伝令は帰ってないがな」
「記録官はどうなりました?」
「そちらも伝令を出した。ムゼング公爵領に向かわせるようにしてある」
ムゼング公爵領は海がある領地で、ゴズメ王国に四人いる公爵の一人だ。
「そうですか。ここからだとあと何日ですか?」
「急げば夜には着く距離だな」
じゃあ、のんびりいけば明日のお昼には到着するってことね。
「──伝令!」
と思ったけど、どうやらダメっぽい。こりゃ渦だな。
「ムゼング公爵領にて渦発生! 規模はレベル3です!」
渦の具合を五段階評価にしたわ。レベル3はマルジング伯爵領に現れたサイズのものね。それ以上の見たことないから今のところがレベル3が最上ね。
「魔獣も多数派目撃されております!」
ハァー。わたしが歩けば渦に当たるになっているわね……。
「ライルス様。半数を向かわせてください。わたしたちが向かうまで魔獣を払っておいてください」
「うむ。任されよ。ルジュク、今回はお前に譲る。見事魔獣を排除してみせろ」
ルジュク様は残ってメイドたちを守ってくれた聖騎士様。護衛に当たったメンバーにやらせるみたいね。
「ラグラナ。すぐに出発準備を」
「畏まりました」
「巫女たちは馬車内で着替えを」
今回はわたしは記録をさせれるだろうから糖分を摂っておくとしましょうかね。
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