第474話 世界樹の意味 上
ハイ。渦、浄化しました~!
「なんだか身も蓋もないな」
「そんなものですよ」
発生原因は未だ謎だけど、浄化法は確立したようなもの。まあ、わたしはあと三形態を変えることができます。って言われたら知らん! としか言いようがないわ。
「あとはマルジング伯爵に経過観察をお願い致しましょう」
「完全に消えたように見えるが?」
「タルル様は、発生した瞬間を見たことがありますか?」
「…………」
「そういうことです。出たのなら消えていなかったということ。出てこないのなら浄化法は正しいということ。何百年何千年と苦しめた災害が今日明日で解決することはありません。地道な観測が問題を解決する鍵となるのですよ」
「……お前はいったい何歳なんだ……?」
「十六の小娘ですよ」
「そのセリフは百年生きても口にできないことだぞ」
「数百年生きているならもっと賢くなってもらいたいものです。大切なものがあるならね」
世界が人の発展を阻害しているのかしら? もっと渦に関して対策できるものなのに……。
「コノメノウ様。コルディーの神殿は渦のことをどこまで把握していますか?」
梅酒の瓶を奪い取って尋ねた。アル中か!
「ゴズメ王国と大して変わらん。コルディーには渦が発生することはなかったからな」
「そうなると、世界樹が発生の要因の一つってことが濃厚になりましたね」
「世界樹を伐れとか言わんよな?」
「そんな畏れ多いことは言いませんよ。世界樹の意味を考えたら枯らさないよう世界樹のことも学んで欲しいと思うくらいです」
世界を支える樹として神話の時代からあるもの。きっと重要な役割をもって生まれたに違いないわ。伐ったら人類滅亡しました~とかなったら笑うに笑えないわ。
「世界樹の意味?」
「そこでタルル様が首を傾げることが不安で仕方がありませんよ。渦のことも知らない。世界樹のことも知らない。では、なにを知っているのですか?」
「「…………」」
なにも知らないとばかりに沈黙していた。
「この世界は大きな意思によって創られている感じがします」
「神にか?」
「それはわかりません。わたしは神と出会ったことがないので」
出会ったことはないけど、神に近い存在はいるんでしょうね。ギフテットなんて言葉があるんだからね。
「チェレミー嬢。魔獣は灰になるまで燃やして聖水を撒いておいた」
「ご苦労様です。では、撤退準備をお願いします。村に戻りましょう」
まだ陽は高い。ここで野宿することもなし。さっさと帰るとしましょうか。お風呂に入りたいわ。
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