第459話 どこでも扉 下

 どこでも扉計画はお城を造ろう考える前から考えていた。


 けど、転移だけでもかなりの魔力を消費することから万が一のときに使うと決めて、どこでも扉は諦めていたのよね。


 そんなときに現れたのがコノメノウ様でありタルル様だ。これは使わない手はないでしょう。


 コノメノウ様もタルル様もどこでも扉計画を反対できる立場ではなくなった。わたしとの繋がりを切れない限りはね。


 ゴズメ王国はまず切れないでしょう。コルディーとの繋がりはわたし頼りなんだからね。


「繋がるとなると仕事が増えますね」


「繋がるまでに体制を整えておけば問題ないわよ。王宮が事の重要性を理解しているなら、だけどね」


 事の重要性がわかるからわたしの胃はすり減りそうだわ。どこでも扉はお城が完成してから設置するとしましょう。魔力もまだ貯まってないんだからね。


「で、その伯爵夫人はいつこれるの? わたしに言ったってことはもう用意はできているんでしょう」


「はい。チェレミー様の許可をいただけたらゴズメ王国から帰ってくる頃には到着していると思います」


 ほんと、この国のお妃様も優秀すぎて嫌になるわ……。


「さすがにここに呼んでも仕事はないから別のところでメイドを教育してもらおうかしら?」


 あの建築スピードでもお城の完成は来年でしょう。そろなら別のところでメイド教育をしてもらったほうがいいかもしれないわね。


「教育はお城の側で行ったほうがよろしいかと。情報はなるべく広めないほうがよいと思います」


 秘密を守ることに関しては王宮のほうがプロ。プロの言葉には従っておくとしましょうか。


「では、そうしましょう。ラルドには申し訳ないけど、伯爵夫人がくるまでに館を築いてもらいましょう」


 わたしの名前でお願い書を書いてモリエから渡してもらうようにした。館の造りも秘密にする必要があるでしょうからね。


「畏まりました。わたしのほうで進めておきます」


「お願い。ただ、ラルドたちを脅したりしてはダメよ。わたしが強くお願いしていたというのはいいけどね」


 そのほうがどこにも角は立たないでしょう。ラルドにはあとで報いてあげればいいわ。


「ごめんなさいね。仕事を増やして」


「とんでもありません。遣り甲斐のある仕事でここにかれて幸せです」


 王宮では閑職だったのかしら? モリエ、こんなに優秀なのに。


「ふふ。他にやりたい仕事があるなら遠慮なく言いなさい。その役職を創ってあげるから」


 表情は薄く、冷徹そうに見えるけど、中身は結構熱を持っているみたいね。黒幕とか似合いそうだわ。


「ありがとうございます。そのときはよろしくお願い致します」


「任せなさい。わたしのすべてを使って用意するから」


 なにをするか楽しみだわ。

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