第452話 難しい立場 上
「チェレミー!」
と、予想したとおり、次の日の昼には叔父様がやってきた。ご苦労様です。
「まずは汗を流してください。ちゃんと時間は作っておりますので」
どれだけ馬を飛ばしてきたんだか。ちゃんと五日はいるって書いたのにね。
叔父様に御風呂に入ってもらい、一緒に昼食をいただくことにした。
「お前はいったいなにがしたいんだ?」
「のんびりゆったり暮らしたいですね」
今ものんびりゆったり昼食をいただいておりますよ。
「ふざけるな」
別にふざけてないんだけどな~。わたしはいつだって本気(マジ)で生きてるのにね。
「わたしは利用されただけですよ」
「なら、それを利用してやろうと思うのがお前だろう」
あらやだ。叔父様ったらわたしの理解度が高いじゃないの。理解されて嬉しいわ~。
「否定はしません。カルディム家のために動くのが一族としての努めですから」
「お前の場合は範囲を越えているのだ。カルディム家はしがない伯爵だぞ? 王家や他国とやり合えるほどの力はないわ」
「そこはわたしがやりますよ。利用してくるなら利用し返してやります。もちろん、カルディム家の利になるようにね」
王家や他国とやり合えるわたしがいるんだから問題ナッシング~。
「……お前は自分の価値をわかっているのか? その火傷など気にもならない価値があると自ら示しているようなものだぞ……」
さすが叔父様。よくわかってらっしゃる。
「それも考慮して動いていますから安心してください。王宮が取れる手はそうありませんからね」
いいところ陛下の何人かいる愛妾の子の妻にするか第一王子の愛妾にするかでしょうよ。けど、お妃様がそれを許すとは思えない。
わたしの価値を下げるだけでなくわたしが敵に回る可能性を考えるでしょう。わたしがどんな存在か知らしめるために王宮の手の者を引き込んだんだからね。
それでわたしという存在を理解できないのならお妃様はそれだけの存在ってこと。恐れる必要はないわ。誰の妻になれと命令されてもどうとでもできるわ。
「ハァー。カルディム家はとんでもない娘を抱えたものだよ」
「わたしよりナジェスやレアナを心配してください。わたしをどうこうするよりナジェスとレアナをどうこうするかのほうが楽ですからね」
お兄様はカルディム家の次期当主。正式な婚約者もおり、それをどうこうさせるのは難しいでしょう。まあ、やれないこともないでしょうけど、わたしに見抜かれずやるなんて難しいでしょう。バレたときの報復も考えないとならないしね。
それならナジェスとレアナを標的にしたほうが楽であり、婚姻関係を結んでカルディム家に入り込むほうが確実だからね。
「ナジェスはもうそろそろ婚約者を決める歳ですよね? どうなんです?」
「まだ決まってはいない。レアナは欲しいと言うところはあるがな」
恐らく男爵家でしょう。伯爵家と繋がりを持ちたい家はたくさんあるからね。逆に、ナジェスは探すのは大変でしょうね。次期領主代理は人気があるようであまりないからね。次期領主代理に釣り合うのは伯爵家の者だからね……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます