第24話 ガチ
少し、寝坊をしてしまったけど、天気もよいのでウォーキングに出ることにした。
「おはようございます、お嬢様」
兵士が六人なったので、ウォーキングのときも護衛が一人つくことになった。もちろん、付き添いとしてマーナがついているわ。
「今日はどうしましょうか?」
「そうね。村のほうへいきましょうか」
村までいったら往復で二時間はかかってしまうので、三十分くらい歩いたら折り返してきましょう。
「はっ。畏まりました」
兵士のマルデムが呼び鈴を鳴らすと、村の男性と思われる方々が六、七人現れた。なにかしら?
「安全のために村の男たちを雇いました」
「もう麦の収穫じゃないの? 忙しくなるのに無理させてはダメよ」
まだ先とは言え、貴重な働き手を呼んだりしたらわたしの評判が落ちちゃうじゃない。
「いえ、わしらもいい小遣い稼ぎができて助かります」
と、四十半ばくらいのおじさんが代表をして答えた。
「あら、そうなの? 安いお金で働かされてない?」
「とんでもないです! 誰がやるかで揉めるくらい充分な金を出してもらえますよ」
マクライ、どれだけあげてるのよ? うちの財政、大丈夫?
「そう。本業が疎かにならないていどにお願いね。カルディム領を支えているのはあなたたちなんだから」
うちの税収が下がったらわたしのスローライフの質も下がっちゃうんだからさ。
「はい、もちろんです!」
よい返事ね。まあ、わたしも安全にウォーキングができたら助かるしね、皆さんには気持ちよく護衛をしてもらいましょう。
わたしのペースに合わせてくれて三十分くらい進み、少し草の上で休んだら館に戻った。
「ご苦労様。またお願いね」
報酬はマクライが渡すでしょうから、お礼を言って館に入った。
「チェレミー様、おはようございます」
待っていたのか、マゴットやロッコが玄関ホールにいた。
「おはよう。早いのね」
昨日、結構お酒を飲んだって言うのに。
「あはは。さすがに寝坊はまずいとロッコに起こされたよ」
「ふふ。できた弟子でよかったわね。わたしはこれからお風呂に入るけど、二人もどう? お酒の臭いも落ちるわよ」
わたしは純粋に誘っただけですからね。
「ああ、入るよ。ロッコも付き合え」
「わ、わたしもですか!?」
どうするかはあなたたちで決めなさいと、マーナからラティアに移り、お風呂へ向かった。ちなみにラグラナは王宮から呼ばれたのか、昨日の夜に王都に出発したわ。
……また変なことを持ってこないといいのだけれど……。
脱衣場でラティアに脱がしてもらっていると、マゴットとロッコがやってきた。
「ラティア。今日は自分でお湯をかけるからいいわ。さすがに四人は無理だからね」
「でしたら、湯に入らず待っております。お嬢様の手をわずらわせるなどできません」
「体が冷えちゃうわよ」
「湯気で温かいので問題ありません。村ではもっと寒い中、水で体を洗ったりもしますから」
それは聞いているだけで寒くなるわね。貴族に転生してよかった。
「そう。じゃあ、お願いするわ」
司令! 三方からおっぱいが迫ってきます! 我が隊は囲まれました! なんて脳内おっぱい戦争を繰り広げながら浴室へ。
もはや神業レベルで服を脱ぐラティア。躍動するおっぱいが素晴らしいわ。
前と後ろからお湯をかけてもらい、湯船へ入った。
ラティアもしゃがみ、ちょうどいい目線にマスターDが。いいお──湯だわ。
……わたしの集中力、ふ菓子より脆いわね……。
「ロッコ。しっかり洗え」
「は、はい。マゴット様」
緊張するロッコとフォローするマゴット。裸の付き合いっていいものね。自然とニヤケてしまうわ。
なんとかお湯を流して湯船に入ってきた。真ん中わたしですか!? みたいなロッコがお可愛いこと。まだ未発達なツル子ちゃんなのね。まあ、わたしはもっとツルり子ちゃんだけど!
「同性同士、そう恥ずかしがらなくていいのよ」
まあ、わたしはロッコのささやかな胸をガン見してますけどね。
「……は、はい、すみません……」
「そう謝るな。風呂では無礼講だからな」
そうそう。セクハラしても許される場所なのよ。わたしの胸やお尻を触ったっていいんだから。
なにか話しかけるとよけいに緊張しそうね。黙っていましょうか。恥ずかしがる乙女を眺めるのも最高ですしね。
「チェレミー様。朝食が終わったら買いつけてきたものを見てくれ」
「あ、そう言えばそうだったわね」
すっかり忘れていたわ。メインはそっちなのにね。
「コメは買えたかしら?」
「ああ。最近ではバナリアッテでも食べられるようになったとかで、安く大量に買えたよ」
「もちろん、調理法や食べ方を聞いてきたんでしょうね?」
ジェドの二の舞なら商人失格よ。
「そこは安心してくれ。帝国の料理人を手に入れられたから。いろいろ作れるぞ」
「あら、それは嬉しいわ」
ガイルの手間が減るってものだわ。
「レイドーラと言うのだが、ここで雇ってもらえないか? なんでもこちらの料理を学ぼうとやってきたみたいなんだ。人となりは問題ない」
へー。今の時代に料理の修業に出るなんてあるのね。ガチじゃない。
「いいわよ。じゃあ、厨房も拡張しないといけないわね」
帝国料理か。どんなものか楽しみだわ。
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