第21話 わたしの宝物

 この館のメイド頭はローラなので、ラグラナはわたし付きとした。


 まあ、この館のメイドはわたし付きなんだけど、館の掃除や村への買い出し等があり、五日に一回は休みを与えているし、体調不良のときは必ず休めと厳命してある。一人のメイドが二十四時間付いているってことはないわ。


 以前より減ったけど、魔力回復のために午前と午後、二時間くらいは眠っている。眠っているときまで付いていることもないしね。


 夏がいつの間にか終わり、秋の足音が近づいているそんなある日、マゴットと弟子のロッコ、と言うか、マゴット商隊がやってきた。


「馬車が三台とは出世したわね」


 まあ、馬車三台がどれだけの出世かはわからないけど、この数ヶ月で馬車を二台増やし、従業員らしき者が八人(子供が一人いるわね?)。護衛が四人もつけていた。商売が順調ってのだけはわかるわ。


「ああ。これもチェレミー様のお陰だよ」


「機会をものにしたマゴットの成果よ。お礼がしたいなら商売で返してくれたらいいわ」


 どうしてもって言うなら一緒にお風呂に入ってもらうけどね。いや、お礼じゃなくても一緒に入るわよ。ロッコはもっと育ってからね。


「もちろんさ。チェレミー様に頼まれていたものや養蜂をやっていた夫婦も連れてきたよ」


 あ、そっちの夫婦と六歳くらいの男の子は養蜂をやっていた人か。


「そう。ラグラナ。アルドに家を一軒造るよう指示を出してきてちょうだい」


 連れてくるとは思わなかったから用意してなかったけど、貯水槽に回していた職人がいるから数日で造ってくれるでしょうよ。


「畏まりました。作業小屋も一緒に造らせますか? 養蜂をやるなら必要だと思います」


「それもそうね。マゴット。一緒についてってもらって。職人も知った者に説明されたほうがいいでしょうからね」


「そうだね。バルド、ついてってくれ」


 ラグラナと養蜂夫婦+子供がアルドのところに向かった。


「あなたたち。旅の汗を流しなさい。ラティア。皆にお風呂を使ってもらって。マゴットにはわたしのお風呂を使わせてあげるわ」


「風呂? チェレミー様は貴族みたいなことするんだな」


「なにバカなこと言っているの。わたしは貴族よ」


 爵位はないけど貴族籍には入っている。正真正銘貴族だわ。正確に言うなら四位貴族。伯爵の正妻、実子は大体四位ね。側室やその子は六位、だったかしら? 興味ないから詳しくは調べてないわ。


「はは。チェレミー様は全然貴族らしくないので忘れていたよ」


「他の貴族を知らないからなんとも言えないけど、わたし以外の貴族にあったらおしとやかにしてなさい。なにかあればわたしを頼りなさい。伯爵までならなんとかしてあげるから」


 さすがに侯爵以上になると黙らせるのは大変だけど、伯爵までならなんとかなるわ。そのためにもラグラナを受け入れてるのだからね。


「……チェレミー様は怖いな……」 


「わたしは平和を愛する女だけど、わたしが大切なものを奪おうと言うなら手段は選ばないわ」


 このおっぱいを傷つける者は死すら許されぬ地獄を見せてあげる。


「そ、そのときはよろしくお願いします」


「ええ。任せなさい。さあ、お風呂よ。いらっしゃい」


 あとのことはラティアに任せ、マゴットとアマリアを連れてお風呂に向かった。


「……これが風呂かい。凄いもんだね……」


「王宮のお風呂はこの十倍はあるそうよ。わたしの力ではこれが精一杯だわ」


 いつかプールのようなお風呂を造っておっぱいカーニバルを開きたいものだわ。


「じゅ、十倍かい。王様ってのは凄いんだね~」


 きっとどれだけ凄いかは理解してないでしょうね。この世界でお風呂を造ると言う大変さをね。


「さあ、服はこの篭に入れなさい。洗濯をして明日の朝に部屋に届けるから」


 お風呂とトイレを造るついでに洗濯壺も設置したわ。もちろん、乾燥室もね。わたしに抜かりは……いっぱいあったりするわね。だって人間だもの。


「ぜ、全部脱ぐのかい?」


「裸を見られて恥ずかしい歳でもないでしょう」


 わたしは裸を見れてうひょひょだけどね。


「ま、まあ、そりゃまあ、そうだけど、なんだか明るいところで、ってのは抵抗あるもんだよ」


「そうなの? マゴットは恋人いないの?」


 この時代にセクハラと言う概念はありませぬ。


「まあ、若い頃はいたかな」


 目を逸らすマゴット。いなかったのね。わたしも前世はいなかったわ。


 アマリアに服を脱がしてもらい、さっさと浴室へ移った。


 すぐに服を脱いだアマリアもやってきてわたしにお湯をかけてくれた。


「……チェレミー様。その子……」


 服を脱いでやってきたマゴットがアマリアのお尻から生えた悪魔のような尻尾に驚いていた。


「わたしのメイドよ。それ以上でもそれ以下でもないわ」


 その巨乳は想像以上だったけどね。ビバおっぱい!


「そ、そうだな。チェレミー様のメイドだな」


 メイドもわたしの大切な存在。守るべきわたしの宝物おっぱい。傷つけることは許さないわ。


「ほら、あなたも体を洗いなさい。できないのならわたしが洗ってげるわよ」


 特にその美乳を念入りに、ね。


「チェレミー様にそんなことさせられないよ! 自分の体くらい自分で洗えるよ!」


 それは残念。仕方がないから洗う姿を眺めさせてもらうわ。

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