第20話 ハァー
おかしい。ぶっひゃひゃひゃ! のほうではなく、普通ではないのほうのおかしいね。
なぜ不思議に思わなかったのもおかしいけど、マレアは明らかにおかしい存在だわ。
わたしの世話係として選ばれたとき、すでに六十だと言っていた。なら、今は七十歳ってことじゃない。あり得ないでしょう! この医療が発展してない世界で七十年も生きられて、未だに現役ってなによ? マレアだけ時が止まっているって言うの? なわけねーよ! 時間は皆平等だわ。
じゃあ、マレアには平等ではい、いや、年齢を重ねないカラクリ、もしくは秘密があるはずよ。
推察その一。入れ替わっている説。ないわね。昨日、体を洗ってもらった手つきは十年前と同じもの。おっぱいをガン見しててもわかったわ。
……うん。あれはよがっだわ~……。
おっぱいに年齢は関係ない。形、張り、大きさが正義なのよ!
じゃなくて、推察その二。なにか催眠系でこちらの視覚を歪めている。なら、肌もそうするはず。顔と手だけが六十歳を過ぎていたわ。
推察その三。変装している。これはありえるわね。この時代、肌を見せるのはハレンチとか思っているからね。あ、男性や身分ある人に対してね。世話をするメイドとかにはすっぽんぽんになっても気にしないわ。
……小さい頃なんて両側に立たれながらお化粧直し(お花摘み的表現ね)してたものよ……。
推察その四。マレアがアマリアと同じ、魔族の血を受けている。
わたしの推しはこれね。魔族には数百年生きる者もいると書物に書かれていたからね。
ただ、マレアからは強大な魔力は感じない。まあ、わたしに魔力を感知する感覚が鈍いので、特級でもなければ感じ取ることはできないでしょうけど。
「……またマレアなの……?」
昨日は仕方がないとしても今日もやることないでしょう。まあ、わたしはマレアのおっぱいが好きだからいいのだけどさ。
「そろそろお暇させていただこうと思いまして、最後のご奉公です」
「……最後、ね……」
「はい。最後でございます」
なんとも含みのある言い方だこと。含むならそのおっぱいの中だけにさせて欲しいわ。
あまり追及するのも薮蛇でしょう。マレアがなんなのかそこまで気になるわけじゃないんだしね。
でも、そのおっぱいは気になるわ。バインバインしたら怒るかしら?
「さあ、お嬢様。お尻を向けてください」
「その赤ん坊みたいなやり方、そろそろ止めてくれない」
もうお尻を見られるのも慣れたけど、体勢と洗い方と言うものがあるでしょう。世のお嬢様はこんな洗われ方しているの? まあ、お母様も三人のメイドに洗われていたけどさ。
「大事なところはしっかり綺麗にするものです。お嬢様を好いてくださる殿方もいないとは限らないのですから」
野郎にお尻を見せるなんて想像するのも嫌よ。そんなことするくらいなら河童に尻子玉を抜かれるほうがマシだわ。
「いたとしても見せないわよ」
夜這いしてきたら死ぬより恐ろし地獄を見せてあげるわ。
「やはり、足を洗うには椅子があったほうがいいですね」
「それはいいわね。すぐに作らせるわ」
湯船の縁に座りながら見おろすパイ乙なことよ。わたしは天国にいるのかしら? わたし、死ぬの?
なんてことなく体を洗うのが終了。二人で湯船に浸かった。
「お湯に浸かるのはどうなんだろうと思いましたが、慣れるとよいものですね」
うん。あなた、今日で二日目だよね? 慣れるの爆速じゃない?
「でしょう。お風呂はいいものだわ」
おっぱいが浮いている光景と言うのは本当にいいものね。その新大陸に上陸したいわ。
「……お嬢様は、王都に戻ることはないのですか……?」
なにか悲しそうに、呟くように尋ねるマレア。なんなの、いったい? 死ぬの?
「少なくともわたしの意志で戻ることはないわね」
今度、婚約だ、結婚だとなったら国外に逃亡ね。野郎に操をくれてやるなんて無理だもの。それなら平民としておっぱいを求めるわ(断言)。
「そうですか」
「まあ、引退したのならこちらに移ってきなさい。部屋を用意してあげるわよ」
そのおっぱいをもう一度。湯の中からバインバインしたいわ。
「……引退、ですか……」
「できたらよ。無理にしろとは言ってないわ」
おそらく、真の雇い主は王宮でしょう。そこが認めない限り、マレアが解放されることはないはず。引退したいのなら自分で交渉しなさい。
「引退ですか。確かに名案ですね」
ん? わたし、なにか名案を言ったかしら? マレアの中でなにが導き出されたのよ?
「明日、王都に帰ります」
「そう。元気でね」
今生の別れと言うわけじゃないんだし、また会えるでしょうよ。
朝になり、マレアは王都に帰ってしまった。そう言えば、あなたここまでなにできたの? 歩いて出ていったけど……?
なにがなんだかわからないけど、影の考えることはわたしにわからない。さあ、いつもの日常に戻りますかね。
ラティアやマーナ、アマリアとおっぱい風呂でゲハハな毎日を送っていると、三十歳くらいの金髪ボインなメイドが館にやってきた。
「旦那様の命でやって参りました。ラグラナと申します。これからよろしくお願い致します」
「……それがあなたなのね……」
どんなに姿が変わろうと、わたしのおっぱい眼を偽ることはできない。服の上からだって間違えたりしないわ。
「ラグラナです。よろしくお願い致します」
金色の瞳が黙れと言ってくる。あーハイハイ。もうそれでいいわよ。おっぱいに変わりはないんだからね。
「ええ。こちらこそよろしくお願いね」
ハァー。なんでこうなったのかしら?
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