第11話 ムッツリスト

 オホン。取り乱してしまいました。失礼。


「自己紹介を」


「アマリアです。十七歳です」


 十七歳? 見た目は完全にノータッチなのに。魔族は皆ロリ巨乳なのかしら? そうだったらちょっと侵略しにいかなくちゃならないわね。


「どう言う経歴かしら? それとも訊かないほうがいい?」


 わたしはロリ巨乳ってだけで満足だけどね。あ、もしかしてわたしの好みまで把握されてたりする? ロリ巨乳もいいけど、美女巨乳も大好きよ。あ、隠れ巨乳も大好きですよ。


 言ったら連れてきてくれるかしら? なんて誘惑に駆り立てられたけど、必死に我慢。巨乳ハーレムは生活基盤がしっかりしてからよ!


「お嬢様。隠すならしっかり隠したほうがようございますよ」


 あらヤダ。おっぱいをガン見しすぎたわね。さりげなく鑑賞しないと嫌われちゃう。ムッツリストと呼ばれた名が泣くわ。


「アマリアは、所謂ご落胤です」


「無理矢理、でしょう。そういう変態クソ野郎はいるものね」


「……お嬢様は、どこでそういうことを聞いてくるのですか……」


「あら。あなたにも調べられないこともあるのね」


 転生とか生まれ変わりとか信じられてない時代。わたしが別の世界から転生したなんてわかるほうがどうかしているわね。


「お嬢様の思考は異常すぎて、わたしでは調べることも理解することもできません」


 ただ、おっぱい好きのムッツリストなだけなんだけどね。


「まあ、アマリアがご落胤だろうとなんだろうと構わないわ。アマリアがわたしの下で働くと言うなら全力で守るし、害なす者はどんな手を使っても殺すわ」


 わたしの巨乳を害なすとか、生きながら地獄を見せたあとに足の先から細切れにしてやる。それがどんな権力者だろうと、ね。


「それができるお嬢様だから厄介です」


「だったらあなたの後ろにいる者に言っておきなさい。バカをわたしに近づかせるなとね」


 わたしはやると言ったらやるムッツリスト。ムッツリがテロにクラスチェンジするのも厭わない。巨乳を守れるならわたしは鬼でも悪魔にでもなれるわ。


「はい。しっかりとお伝え致します」


 マレアが言うのなら今は信じておきましょう。バカに万全は通じないからね。


「アマリア。あなたの言葉で伝えてちょうだい。わたしの下で働きますか?」


 命令されてきたのならそれでも構わないわ。触ったり揉んだりバインバインさせても逃げないってことだからね。あ、クンカクンカもしたいわ。


「お嬢様」


 おっと。欲望がヨダレに。ロリ巨乳を前に心が騒いで自制できないわ。


「……こ、ここで、働かせてください!」


「では、衣食住はわたしが用意します。給金は月銀貨二十枚。特別給与は年二回。休日は月四回ですが、働きたいと言うときは特別手当を出します。それでよいかしら?」


「お嬢様、破格すぎませんか?」


「この館の主はわたし。わたしがやりたいようにやるのよ」


 今はまだお父様からお金をいただいているけど、いずれはわたしが稼いだお金でやりくりしていくのだからわたしの流儀でやらせてもらいます。


「アマリア。これでよいかしら?」


「は、はい。よろしいです! これからよろしくお願い致します!」


「ええ。こちらこそよろしくね」


 呼び鈴を鳴らしてメイド頭のローラを呼んだ。


「──失礼します」


 ドアの前で待機してたのか、すぐに部屋に入ってきた。


「ローラ。悪いけど、アマリアに部屋を与えてちょうだい」


「畏まりました」


「アマリア。メイド頭のローラから館のことを聞いて、明日からわたしの側近として働いてもらいます。ローラもそのつもりで」


「か、畏まりました」


 最低限の教育はしてきたみたいね。メイド服での一礼をしたわ。


 ローラとアマリアが出ていったら机からソファーに移った。


「指輪を見せてちょうだい」


「畏まりました」


 ドン! と鞄をテーブルの上に置いた。いや、どんだけ持ってきたのよ?


 おそらくお父様が催促している分でしょうが、今の音からして軽く十キロはあるわよね? 指輪で十キロとか何百個になるのよ!


「お父様はわたしを殺す気かしら?」


 不眠不休でやったとしても一月はかかるわよ!


「これでも抑えたほうです」


 まったく抑えにもなってないんですけど!


「貴族分かしら?」


「はい。旦那様が断るに断れない数です」


 さすが可もなく不可もなく、極々普通な伯爵。断るに断れない数がこれほどいようとは。伯爵ってなんなのかしら? って考えちゃうわよね……。


「できるまでマレアはいるの?」


「そのためにきましたから」


 お父様もそれだけ追い詰められているってことか。ハゲてないことを切に願うわ。


「四日。いえ、五日で終わらせるわ」


 十人分の魔力があるなら解決法はある。相手は貴族。なら、魔力は持ち主からもらえばいい。それなら魔力も半分で済む。


 いや、十人分の魔力があるならコピーができるかもしれない。やる価値はあるわ。


 ソファーから立ち上がり、棚から手頃な小瓶を取り出した。


 今の魔力なら固定化は無理でも形は整えられるはず。


 九割の魔力を注いで指輪ライターをコピーできる付与を壺に取りつけた。


「今日は眠るから、あとは……よろ……ね……」


 そこで意識が途切れてしまった。

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