第6話学校を休んだ

【チャイム音】

どうしたんだ?友人がまだ来ていない 寝坊?いや、ちょっとまて何かあったのか?

連絡するか?

「はーい 席につけー出席とるぞー」

「あいかわー」

「はーい」

「ありたー」

「はーい」

先生が出席をとっていく、友人が、今日休みなのかわかるな

「あーそういえば今日一人休みがいたな」

やっぱり、あいつは休みみたいだな

「せんせーなんで休みなんですかー」

君嶋さんが先生に質問する

「ん-昨日家でコケて頭を打ったんだとよ だから今日は病院に行くらしい」

「あははは」

教室のみんなが笑う 俺も何も知らなかったらみんなみたいに笑っていたのかもしれない だが、俺は知っているあいつがどういう状況なのか 知っているからこそ笑えない 次の休み時間連絡するか


【チャイム音】

授業が終わり挨拶をする

「気をつけ 礼」

「ありがとうございましたー」

俺は急いで教室を出てスマホで友人に電話をかける

「もしもし、どうした?光樹」

「どうしたじゃない 大丈夫なのか?」

友人にどういう状況か問い詰める

「あー 頭打ってたんこぶ作ってめっちゃ痛い」

「ばか それもだが、肺がんの方だ」

「ん?肺がん?別に何ともないぞ あれ先生が言ってなかったか?コケてたんこぶ作ったって」

「それは聞いたが肺がんで倒れてとかじゃないのか?」

「違う違う 風呂上がりに滑ってこけただけだよ なんだ、心配してくれたのか?」

なっ こいつ…

「本当にこけただけなのか?」

「ん?ああ そうだぞ 心配して…」

ブチっ 無言で通話を終了し教室に戻る

たくっ あの野郎心配して損したぜ ほんと人騒がせな

いや、今回は俺が勝手にあせっただけか?いや、やっぱり、あいつが悪い高校生にもなって家でコケて頭打つとかダサすぎだろ


【放課後】

今日1日、静かだった 盲腸の手術以来、ずっと放課後一緒に帰っていたが今日は久々に一人で帰る あいつが、もしいなくなったら、どうなるのだろう?俺は何も変わらないのだろうか?それとも何か変わるのだろうか? 多分、変わらない 変われない

あいつがいなくなったら本当に一人になるのだろう 人はそう簡単には変われない

別に、変りたいわけじゃないし俺は、このままでいいと思う だが、人生には遅かれ早かれ変わらないといけない時が来るのだろ 俺もあいつもみんなも

コケてたんこぶを作っただけと頭ではわかっている だが、肺がんという言葉が頭から離れない 一人で歩く帰り道、ネガティブな考えばかりが溢れ出す

なぜか、昨日、一昨日より、何もしていない今日がどっと疲れる 家に着きゲームをする気力もないままベッドに横になる 

月曜、学校に行けばきっと、友人はいるのだろう なんともないケロッとした今までと何も変わらない顔で、おはようとあいさつをかわす だが、俺は今までとは確実に違う 自分でもどこが違うかわからないくらいの小さな小さな変化とも言えない違いが、きっとある なぜかそんな予感がする 微睡む意識の中、そんなことを思う

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