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 あいわらずしょくのBGMはかただれかのわるくちと、テレビがうただれかのだった。

 わたしうのはやめて、とかえしても「かんでいい!」とられ、まともにはなしいてくれたとおもったら、みってばもとどおつづけるので、ぶんそういうものりつつあるのだとおもう。

 そうおもわないとあきらめがかない。

 そのうえしょくりょうおおすぎるうえい。おとこばかりそだてて、おんなそだてるのははじめてだからだとおもう。そして、ちょっとボケがはいはじめている。

 ねんはいったしわにまみれたに、それをてきできないままべる。どうしようもないときは、みずをがぶみしてトイレでいていた。

く」というこうはハマるひとはハマるらしいが、わたしにはただいらついたゆびふるえだけがのこった。


 ぶんきっと、わたしものわりにものがたりながしている。ながすのとおなじように、すべてをむにはちいさすぎた。

 ながしたシークエンスをひろあつめては、それらしくていさいととのえてうつす。それだけのものだったらどれほどかっただろうか。


 それだけのものじゃないから、こんなにこまっている。


 おはいるためにえをりにはいる。

 そこであねなにかをしていた。つくえうえいてあった、わたしきかけのしょうせつノートのページをゆっくりめくっていた。


「おねえちゃん、それ、わたしの……」


 あねがこちらをいた。しゅんかんしっぱいした、とおもった。

 けものじみたにくしみをめたひとみ。ああ、いつものやつ。ろくなことにはならない。


「おまえぶんなにやったかわかってんのか!」


 そのまま、ノートのページがえんりょやぶられる。ぴたりとのうこうめる。にくたいからせいしんさんいてからだした。


「パクりやがって、おまえまでわたしのこと鹿にしやがって!」


 あねやぶいたページをまとめてとうぶんしていく。けっこうあつさがあるのに、どこからそんなわんりょくるかいつもだ。


はんざいやぞ、わかってんのか、なあ、へんしろ」


 被害者ひがいしゃ意識いしきはそれだけではまんぞくしなかったようだ。あねわたしやぶいたページをげつけた。

 そこでようやっと、からだについていくる。

 ビリビリにやぶかれたノートをてて、ひだりあしつめてるあねはらって、わたしいえゆいいつうちかぎのあるトイレにんだ。

 あねはぎゃあぎゃあわめきながらトイレのとびらなぐりつけていた。

 みみふさぎたくてもふさげない。

 かぎといってもかんてきなものだ。ぜにどころかつめ使つかえばそとからでもけられてしまう。ぜんもそうやってトイレからきずりされたから、かぎのつまみをつかんでいないといけない。

 だってトイレのまえかいだんだ。つぎとされたら、ほねるかもれない。

 トイレのそとめにはいったあねこうろんこえる。

 とびらたたくのをやめろとったあねは「こうしたらそのうちくるうの!」とどこぞのまんれたまめしきさけんだ。


 みじめだ。


 わたしはとっくにぶっこわれている。

 つうかくかくなかしているし、めんんでいるかんかくはなかった。ふでばこのペンるいすべこわした。ゆびさきなまりのようにおもくてうごかすことすらおっくうで、きずまみれのくびはテーピングでかくした。

 げんじつなんてもうどこにもない。ロッカーのかどたたきつけたうでのこる、にぶざんきょうだけがすべてだった。

 でんしゃるたび、まどるたび、こうしゃげるたび、わたしはどうやったらねるか、そればかりかんがえていた。

 それでも、まだあねわたしこわりないらしい。

 くしゃみをしたのにあやまらない、としてもなぐられつづけたのはいつだっけ。テレビをているだけでくびられ、うまりになってぶちぶちとかみかれたのはなんでだっけ。

 ゆびをぶつけていたがるのをしんぱいしなかったとおこっていたときは、けもののようだった。あねにしがみついてがしてくれて、はちぎにやっとあねつかれてたからかえっておいでとけいたいでんった。


 つぎはころされる。


 いやころされたほうがあねじんせいをめちゃくちゃにできていいのでは?

 そのまえころしてしまおうか。

 なかほうちょうしてめっしにすればいい。まみれのまま、だしえきまえこうばんまでこう。

 あねからのちをあらいざらいしゃべれば、けんどうじょうはいくらでもえるだろう。

 あしうらさるアスファルトのおうとつゆびけつえきに、かぜつめたさすらなまなましくそうぞうした。


 かえし、なんも。

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