2.進路相談

 今までの成績が机の上に広げられる。

「お前の内申点なら指定校もいけるし、一般入試もいけるだろう」


「はい」


「どこに行くんだ?」


「薬剤師目指します」

「コミュニケーション必須だろう」

「ええ」

 

 自分は無茶してみたのだろうか。

 不愛想な自覚はあるが、そこを心配されるとは思わなかった。


 担任は心配そうにしているが、

 一度資格を取れたらどんなことがあろうと職には困らないはずだ。


 年収ならば文句はない。


「勉強は大変になるだろうが頑張れるのか?」

「逆に頑張れないと思いますか?」

「いいや。成績優秀な奴で助かる」


 生きたい志望校があったから共通テストで受かった。


 さぁ、春から大学生だ。

 大学生から頑張ればいいというものではない。


 覚えなけれらいけない薬剤の名前と副作用なんてごまんとある。

 ジェネリック医薬品を含めれば、さらに膨大な数だ。

 

 それでも医師に比べれば、少ないだろう。


 祖母の薬局に付き添っていたことがあるから、

 現場でも確認事項が多いことは知っている。


 あの狭い空間で全国からの処方箋を確認して

 間違いのないように出さないとならないのだ。


 責任は重大。重複してはならない薬もあるらしい。

 

 家庭用に飲み合わせについての本もあるが、

 理屈がわかるからこそ、患者に説明ができる。


 知識も現場の経験もあるに越したことはない。


「さぁ、頑張るか」

 自分の脳はどこまで薬の知識に耐えられるのか挑戦はこれから始まる。


 専攻みたいなものがあるらしい。

 今、最も儲かっているのは精神科の薬だろう。


 現代病だから当たり前なのだが、ストレスに耐えられない人に処方される。


「体力づくりでどうにかならないものなのかな」


 多分、学校でも精神を病んでいくやつはいるにはいた。


 きっと精神力でどうにかなるものではなくなっているから病気なのだろう。

 

 指一本も動かせないとなれば、重症だし、

 身の回りのことができなくなってくるもの理解できる。

 

 目標を高く設定しすぎたせいもある。

 自分の目標がなく、数字だけおっていると人間は弱くなるらしい。


「自分だって例外ではないし」

 脳は大切な臓器だ。現代人にとって。

 自分は負傷したくないから運動も食事内容の充実も欠かさない。


「自分は助ける側に行くんだから」

 助けてほしい患者がたくさんいる。ある意味戦場で戦う準備をする場所が大学だ。


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