人生のルート、正しいかを証明しなさい 完

朝香るか

1.数学のテスト

 今は数学のテストの時間。

 このテスト出来で志望校が決定するであろう期末テスト。

 紙面は問いかけてくる。 


「以上の事象を証明しなさい」


(ウザ。余裕だけどめんどう)

 カリカリ。

 QED。

 できたら次。


 ロボットみたいな作業工程。


(だる)

 これで最後。

(おーわーり)


 見直しなんてすることないけどあと7分。

 ボーっとするのもつまらないから。


 上から律儀に見直し。

 最低でも90%くらいはあっているかなと思う。


 解に間違いはない。


 終焉のチャイムが鳴る。

 これで、人生が左右されるやつもいるんだろう。

 俺はクラスで一番頭がいいと思われている神崎。


「今回も全問正答の自信は?」

「もちろん」

 「さすが」

 「天才は違うな」


 そんなざわめきも面倒で、さっさと次の科目に意識をむける。

 次は英語。

「最後の科目だねぇ」

「ああ」


 子供用に作られた正しい解。


 正解することが正義の学生時代。


 いい加減に次のステージに行きたいが、

 同じようなことの繰り返しなんだろうなとも思う。


(働く時代すっ飛ばして年金貰いたいぜ。満額でも足らないくらいだが)


 ☆☆☆


「神崎って頭いいのに、やる気ないっていうか生気ないよね」


「かっこいい部類だと思うのに、あんなにやつれているような人ってモテるの?」


「好みな人はそうなんでしょ。私は無理だけど」


(女子の連中、聞こえていないと思っているのか。鈴木、木村。

 1年以内に何かしら嫌がらせするか)


「お前のこと好きらしいぜ」

 嘘の情報を声が大きく素直な奴に吹聴しておくか。

 ああ、日常が退屈だ。



 だからってこの先どうしようというのだろう。


 医者になるには能力が全体的に足らない。


 薬剤師だったら何とかなるかもしれない。

 けれど、いるのだろうか。


 親の道。


 正しいといわれるこのルート。

 あっているかと言われればあっているこの道筋。


 厳格で決まりきった道を歩いて人生楽しいのか。

 大人は死んだ目をして電車に乗る。


 毎日死にそうな顔をしている。

 これで、子どもたちに楽しい未来を見せるとか無理だろう。

 大人になったら負けのように感じる。





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