第14話 新たな仲間※冒頭のみ相手視点
side シュライン
模擬戦。先に動き出したのはセツカだった。
「いきなりかよ!」
「当然だ」
交わされる刀剣の交わり。
だがここでシュラインは疑問を覚えた。
「お、重い……なんだこの刀は」
シュラインはゲーマーだった。
だからファイラグもかなりプレイした。
勿論PVPもやったしセツカ使いと何度も戦ってきて、そのどのセツカにも負けなかった。
当然だ。相手に来たらボーナスキャラなのだから。
むしろセツカ相手に負ける方が難しいと色んな場所で言われていた。
しかし、9回目の攻撃を受けてついに声が漏れる。
「な、何でこんなにコンボが繋がる……?セツカのコンボは3回目以降マトモに繋がんねぇんだぞ?それが9回……?」
そこでやっとコンボが途切れた。
だがコンボが出ないのをセツカは理解していたのか、既に飛び下がっていた。
振った攻撃は当然当たらない。
対セツカは攻撃を受けるか、受け流して向こうが必死にコンボを出そうとしている間にこっちがコンボを決めて仕留めるのが一般的だった。
だが
(こいつ……隙がねぇ……どうやって攻めたらいい?)
今までに対戦したセツカのどのパターンとも目の前の相手は異なっていた。
体力を見る。
数発攻撃を貰っただけだった。
しかし400あった体力は既に100を切っていた。
「な、何だよこの火力……!」
一般的なセツカの1回のコンボ火力は15か32。こんなもの10回貰っても生きてるキャラが多い。
(1回のコンボでその10倍程度消し飛んだ……だと?)
しかもこのコンボの攻撃速度は段々と早くなっていく。
後半の連撃など防ぎきれないような速度になっていた。
(ま、負けらんねぇよこんな雑魚キャラに!!)
恥を捨ててシュラインは大量に魔力回復アイテムを飲むと
「閃光斬り!!!」
こんな雑魚キャラ相手に絶対使わないと決めていた閃光斬りを使った。
これは縦横無尽に斬撃が飛んで敵を切り裂く技。
この技を出されたらとりあえず避ける奴が多い技だ。
当たり続ければ一気に不利になるから。
「ははは、高命中の複数ヒットスキルだ!!!どうする!!1ヒット30ダメージ!10回当たれば……」
その言葉は続かなかった。
「当たれば、なに?」
セツカは閃光斬りの中を突っ込んでくる。
初めから避けることなど頭にないように。
台風のような攻撃の中をただ突っ込んでくる。
(こ、こいつなんで?!避けねぇんだよ?!)
「俺が10回ダメージを貰う前にお前を倒したらいいだけだよね。簡単な事だ」
シュラインの目には見えていた。
体力が300,270,240と段々と確実に減っていくセツカのそれが。
こいつは、命を文字通り削りながら突っ込んできている!!!
目の前の敵を攻撃するために。
(い、イカれてるのかよ……こいつ……体力削られるのが怖くねぇのかよ?!)
シュラインは傷だらけになりながら閃光斬りの中を突っ込んでくるセツカに恐怖を覚えた。
有り得ない、有り得ない、有り得ない、有り得ない!!!!!
「も、モブ未満の雑魚のくせに!!!」
シュラインは倒れた。
◇
「ふぅ」
俺は刀を収めた。
「負けたのか僕は」
と呟くシュラインに答える。
「俺の勝ちだ」
そんなシュラインをミーナが見ていた。
「あれだけ言っておいて負けるんですね。謝ったらどうなんですか?今までの失礼を」
「ぐ……うぐぅ……」
それを聞いてアルフも口を開いた。
「前にセツカはゴミだのどうだの息巻いてたのにこれかよ。しかもアイテムガブ飲みして魔力増強して無理やり強い技使って、負けるってお前」
笑うアルフ。
この場にいられなくなったのかシュラインは無言で出ていった。
「おいおい、待ってくれよシュライン」
それをヘラヘラしながら追いかけるアルフ。
ミーナは俺の手を取ってきた。
「か、かっこよかったです!」
と、そう言ってくるミーナ。
「ありがとう」
そう返して俺は右手をグッと握りしめた。
とりあえずモブには勝てるようになったぞ、と。
「あ、あの」
と俺の顔を見てくるミーナ。
「私あのパーティからセツカさんのパーティに入りたいので、一緒にシュラインのところに行ってくれませんか?あの人の許可が必要なんです」
「来てくれるのか?俺のパーティに」
「はい」
と笑顔で答えてくれるミーナ。
そんな彼女を連れて俺もシュラインを探しに行く。
とりあえず強キャラと言われていたミーナが確保出来そうだな。
アルフは……もういいか。
俺のパーティにアタッカーもう1人編成するのは無理そうだし。
それに俺はアタッカーとしてアルフやゼスタと競い合ってみたいし。
そう思いながらシュラインを探しに行くのだがすぐに見つかった。
アルフが取り押さえていたからだ。
「おいおい、逃げんなよぉ」
「は、離せアルフ」
なんて言ってるシュラインに話しかけるミーナ。
「私パーティ抜けます」
「ゆ、許すわけねぇだろ」
そう口にするシュラインだったが、アルフも口を開いた。
「いいよ。ミーナ抜けな」
「アルフ、お前が選ぶことじゃない」
とシュラインにそう言われるがアルフは笑った。
「おいおい、知らねぇのかよ。パーティ内の全員が脱退に反対するなら抜けれねぇが1人でも頷けば抜けれるんだぞ?」
今アルフは許可を出した。
つまりミーナは抜けれるということか。
「アルフ、お前」
「俺も抜けるわ。バイバイ、シュライン。お前偉そうなくせに俺とミーナに頼りっぱなしだったしな。使えねぇもん」
そう言ってアルフはシュラインを引きずってギルドを出ていった。
「よ、宜しくお願いします」
と頭を下げてくるミーナに俺も答える。
「よろしく、ミーナ」
「はい!」
俺はミーナを連れて宿に帰った。
サーシャはぐっすり寝ていた。
メイルとマーズは別室を借りさせている。
あいつらは俺のただのパーティメンバーだから。
あー、しんど。
とそう呟きなら風呂に入ろうとしたら
「わ、私もいいですか?」
「意味分かってるの?」
「は、はい」
と恥ずかしそうにする彼女。
好きにしなよと答えて俺は風呂に入ると。
ミーナも入ってきた。
お湯に使ってるとミーナもチャプンと入ってきた。
それで俺のあれを触り始める。
「な、何してる?」
「何って?わ、分かりませんか?私の初めて、貰ってくれませんか?」
この子やばすぎるだろ?!
翌日。
とりあえずサポート最強キャラのミーナが入ってくれた事だし、そろそろ16階層目指してみますか。
話を聞くと15階層のキャンプ地は既に出来上がってるらしいし。
俺はその事をみんなに伝えた。
みんないい返事をしてくれた事だし早速10層の町を出て進んでいく。
道順は一度行ったことのあるミーナが教えてくれた。
雑魚戦は俺とマーズが2人で攻撃して切り抜けていく。
ボス戦も同じだ。
いやー、最強NPCがいてくれるといいなぁ!なんて思う。
こういうのって味方になったら急に無能になったりするんだけどこの世界じゃ有能のままらしい。
さてと。15階層まで特に問題なく到着できた。
そんな事で俺はとりあえずキャンプ地でキャンプを用意することにした訳だが、いつか見たアヴァンがいた。
このタワーの攻略とか街の建設にはやはりギルドが関わってくるわけだし。
忙しそうに街の建設指示を出したいく。
こいつがタワー教と関係あるのか現状謎だが、やる事はやっているらしい。
なんて事を思っていたらゼスタの姿があった。
あいつももうここまで来たらしい。
流石だな、なんてことを思う。
他にもラグナロク杯で戦ったエルザとか、その他ゲームで操作できたキャラ連中なんかは既に辿り着いているようだった。
面白くなってきたな。
こいつら全員出し抜いて俺達が一番最初に攻略する。
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