第8話 やっぱり俺だけじゃないらしい
翌日。
次の階層に進む前のミノタウロスのフロアまでやってきた。
前はミーナ達のパーティの倒し損ねたものを討伐した感じだったから今回は本当に俺たちが最初から自力で体力を削りきることになる。
「ブモォォォォォォォォォォォ!!!!!」
叫んでいるミノタウロスに俺は突撃する。
ミノタウロスの体力は3500
対して俺の攻撃力は15で固定だ。
最初は1秒間に15しかダメージを与えられないが。
「ブモォォォォォ!!!!!」
攻撃してくるミノタウロス。
俺の体力は250まで減ったが2人がずっとヒールを途切れさせないので直ぐに回復する。
だがその一方で俺の連撃の速度は加速してヒット数を増やしていく。
1秒で与えるダメージも15から30,30から45というふうに上がっていき今は1秒間で60ダメージ与えられるようになっていき。
そして
「ブモォォォォォ!!!!!!」
と、倒れるミノタウロス。
俺の体力はMAXのままだった。
「や、やりました!!!!」
サーシャが寄ってくるが俺は直ぐに前に襲われたことを思い出して階段の方に目をやったが誰もいない。
キョロキョロと周りを見たがやはり誰もいない。
「警戒しながら進もう」
2人にそう言って俺は先へと進んでいく。
ミノタウロスを倒した時のことを思い出す。
やっぱりセツカの戦い方はこれなんだ。
ヒーラーを2人用意して途切れさせることなくヒールをさせる。
これが俺の戦い方。
ゲームではオートコンボの指輪がなかったからこんな戦い方誰もできなかっただけで、これがある俺なら闘える。
ぐっと、指輪を握りしめて進む。
そうして俺たちが階段を登っていこうとした時だった。
もう1組のパーティが再度復活してきていたミノタウロスに挑んでいた。
「ふぃ〜」
そう言って数秒で倒して俺たちの方に歩いてくるのは
「おっ。セツカじゃん。お前も来てたんだ」
アルフレッドだった。
しかもアルフはミーナとシュラインのパーティに入っていた。
あれだ。アルフとミーナのテンプレお手軽構成だこれ。
これは【アルミナ】と呼ばれる超お手軽最強構成。
俺たちが数分かけて突破したミノタウロスもアルミナなら数秒で終わる。
Q.このゲーム難しくて勝てません
A.アルミナを使ってください
どこの攻略サイトにも書かれてるくらいのお手軽構成だった。
「セツカどっちが上か決めようぜ」
そう言いながらアルフは俺の横を通り過ぎていく。ミーナもぺこりと頭を下げながら通っていく中シュラインはこう口を開いた。
「まさかアルフのパーティを抜けるなんて思わなかったな。アルミナを完成させたらそのパーティの1強になると言うのに」
そう言いながら横を通っていくシュライン。
まさかこいつ……。
「セツカ。君は本物じゃないよね?」
そう聞いてくるシュライン。
アルミナ編成を知ってるなんて。
こいつ……まさか転生者か?
「ゲームとは話し方が違いすぎる。原作やってたらバレバレだ」
そう言いながら歩いていくシュラインを見送る。
俺が転生者だしミズノもそうだったから、他にいても不思議では無い話だったが。
それにしてもアルミナが完成した、か。
その後俺の背後で更にズパーン!!!というミノタウロスの破裂する音が聞こえた。
そちらに目をやると
「よう、兄弟。お前もここにいたのか」
そう言いながらゼスタを先頭に数人が向かってくる。
ゼスタもアルフと同じく最高評価に近い評価を受けていたキャラなのを思い出す。
アルフが何処にでも連れて行ける万能キャラとすればゼスタはボスに当てられることが多かったキャラ。
雑魚戦は苦手だがこいつをバフってボスに当てれば殲滅速度で勝てるキャラはいなかった。
ボス戦に限ればアルフを遥かに超える適性を持っていた。
「先に行って待ってるぜ、兄弟」
そう言って俺の横を通り過ぎていく。
「俺達も行こうか」
そう言って俺達も歩き出す。
ゼスタもアルフもついに動きだしたんだ。
俺達も動き出さないとな。
俺達が次のキャンプ場で休んでいる時だった。
シュラインが声をかけてきた。
「セツカ。模擬戦をしてみないか?」
そう聞いてくるシュライン。
「アルミナを試してみたいんだよ」
「試すまでもないだろ。それで勝てなきゃゲームやめろって言われてた編成だぞ」
ニヤニヤするシュライン。
アルミナを揃えられて嬉しいんだろう。
「頼むよ。お願いできないか?」
そう聞いてくる。
まぁいいか。
俺もコンボを繋げられてどうなるか試したいのはあるが。
「はぁ……」
俺は一瞬で負けた。
アルミナ編成。
流石に環境トップだった編成だけある。
「大丈夫かよセツカ。力は抜いたんだがな」
そう言いながら寄ってくるアルフと
「だ、大丈夫ですか?セツカさん?」
そう聞いてくるミーナに答える。
大丈夫だ、と。
「アルフさん。ほんとに手を抜いたんですか?セツカさんが怪我したらどうするんですか」
「お前こそバフの数値落とせよ。大分力入れちまったかもしれねぇ」
そんなことを言い出すアルミナ。
ちなみにこの2人の仲はそこまで良くない。
原作再現だ。
そんな様子をつまらなさそうな目で見てくるシュライン。
「いつまでそんな下らない男に気をかけている?自分たちの性能はこれで分かっただろう?」
「あ?下らない?」
アルフがシュラインの胸ぐらを掴む。
ミーナもシュラインを睨む。
「ぐっ!は、離せアルフ!」
「お前がさっきの言葉撤回したら離してやるよ。俺の親友になんて口叩いてやがる」
「セツカなんてゴミだろうが。言ったろう?僕は転生者だって。この世界のこと何でも知ってる。僕に従えよ」
アルフがシュラインを殴った。
「はぁ?ゲームだか何だか知らねぇが俺とセツカはずっと友達なんだよ」
「アルフ。お前とセツカじゃ性能に天地の差がある。そんなこと分かってるだろ?」
「知らねぇな。性能云々じゃねぇよ。友達だって言ってんだろうが」
そう言いながらアルフはシュラインを見下ろして軽蔑の目で見ていた。
「友達の事悪く言われたら怒るだろうが。俺の目の前で言うなよ。言うなら陰で言えよゴミカス野郎」
そう言われてシュラインは歩いて去ってしまった。
アルフも別の方に向かっていく中ミーナだけが残った。
「ひ、ヒールしましょうか?」
「そこまでじゃないさ」
俺はそう答えて立ち上がるとミーナに帰ることを促したが。
「わ、私あのシュラインって人嫌いなんです」
そう言ってきた。
「良かったらこっちで泊めてくれませんか?」
俺はメイルのテントなら空いてると答えたが。
俺の手を掴んできた。
「良かったらセツカさんのテントで」
「はぁ?」
そんな言葉しか出なかった。
「お、お願いします」
そう言われると中々断れないな。
「俺は別にいいけど」
サーシャに目をやると頷いていた。
良い、ということらしいが。
はぁ、それならいいか。
そう思いながら俺はミーナとサーシャを連れてテントに入っていった。
俺はと言うとサーシャに抱き枕代わりにされて抱きつかれていた。
ミーナがいる以上いつものようにサーシャも迫ってこない。
「セツカさんと模擬戦したじゃないですか」
そう声をかけてきて最初に負けたのはあれは全力だったのか聞いてくる。
「そうだよ」
「ご、ごめんなさい。私勘違いしちゃって」
そう言ってくるミーナだが
「気にするなよ。シュラインの言う通り俺は弱いんだから」
そう言ってみるが
「で、でもミノタウロスに挑んでいく姿はとてもカッコよかったですよ」
少し照れながらそう言ってくれた。
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