第6話 奴隷と戦術

「いらっしゃい。ってセツカさんか」


店主は俺のことを知っているらしい。


「イケメンのあんたが奴隷商に何の用なんだ?」


んん?と態度が悪い奴隷商。

ひえぇ……怖いよぉ。


本物ならこういう時でも無駄に高圧的な態度なんだろうけど俺には無理だ。


「奴隷が欲しくて」

「その辺で捕まえてきたらいいじゃねぇかよ。ホイホイ付いてくんだろうが」


ホイホイは付いてくるけどたしかに。

でも俺は本物の奴隷がいいのだ。


「リストをくれよ」


そう言うとぶっきらぼうな態度で俺にリストを投げるように渡してくる奴隷商。


「あーあ、俺だったらその辺の女捕まえちまうのになぁ」


とか言ってくる商人。

悪かったなヘタレで。


そんなことを思いながら俺は1番大人しそうな子を選ぶ。


「こ、この子で」

「ぶひゃひゃ!あんたまじかよ!最高だなぁおい!!」


商人はそう笑って俺を地下牢に連れていく。


「おいおい、何であんな大人しそうな奴なんだよ。もっとエロい子だろうが」

「え、えっと、その」

「お前童貞かよ?その顔でぶひゃひゃ。笑っちまうぜ。逆にどうやったら童貞守れるの?教えてくれよ。俺はてっきりヤリまくりなんだと思ってたのに」


そう笑いながら降りていく商人について行く。

薄暗い地下牢にその子はいた。


「本当にこの子でいいのかい?お客さん」


聞いてくる商人に頷いて俺は奴隷の少女と面会した。


「こ、こんにちはです……」


そう言って奴隷が押し込められた部屋から出てきた、薄汚れた少女。


「こんな貧相な肉付きの何処がいいんだよ。おいおい、まな板じゃねぇかよ」


ゲラゲラ悪いながら歩いていく商人の後を少女と歩いていく。

少女と言っても俺と同じくらいだとは思うけど。


俺はその子と手を繋ぎながら地上に上がった。


「あー、そいつなぁ体つき貧相すぎて売れ残ってたから5000ナイルでいいぜ。他の奴隷の10分の1くらいの値段だ」


そう言ってくる商人。

ナイルと言うのはこの国の通過だ。


ちなみに5日分くらいの食費くらいかな。5000ナイルだと。


金を取り出して渡す。


「随分安いな」

「あー売れ残りすぎてて困ってたんだよ」


まいどーと言われながら俺はサーシャという少女を連れて家へ向かう。


「ご、ご主人様すごくイケメンですね」


帰り道そう言われた。


「セツカ様ですよね?噂聞いてましたよ、すごくかっこいいって」


どうやら奴隷の耳に届くくらいイケメンらしいなセツカくんは。


ステータス全部顔面に振ったのかよこいつは。

振り方おかしいだろ。


「サーシャも可愛いよ」


そう言って頭を撫でながら俺は家に着くと、とりあえず汚れているのでサーシャを風呂に入れることにしたのだが。


「入り方わかる?」

「サーシャは分かりません」


と答えられてしまった。

俺のあれが期待に膨らむのを感じながら、俺は溜息を履いてサーシャを連れて風呂に入った。


ちなみに年齢は15らしい。

えぐいな。俺は前世も込みで余裕のおっさんだ。


これに興奮するのはやばいと思うが、愛があるなら平気だよね。

シャワーをかけながらサーシャの体を洗っていく。


「ひゃ、ひゃう!」


そうしているとサーシャが声を出した。


「どうした?」

「あ、あの、その」


体をもぞもぞとさせているサーシャ。

俺は無意識に彼女の胸を揉んでいた。


まな板を頑張って触っていた。


「ご、ごめん」


そう謝って更に洗っていく。

無意識に揉むのはマズイな。


そんなことを思いながら洗っていくと


「んんっ……」


またサーシャが声を出したので自分が触っている部分を思い出す。


「自分で洗う?」

「も、もっと触ってください……」


そう言ってサーシャは俺の手を掴んで自分の体に押し当てていく。

俺の意志など関係なくサーシャは自分で動かしていく。


「んんっ……!!」


ビクン!とはねるサーシャの体。


「はぁ……はぁ……」


舌を出してアホみたいな顔をするサーシャ。


「ご、ごめんなさい……」


そう言ってくるが。

もうやばい。


俺はズボンを脱ぎ捨てた。



「ご、ごめん痛くなかった?」

「ちょ、ちょっと痛かったです」


サーシャに服を着せながら聞くとそう答えられた。


「それより、とってもよかったです」


そう言って手を握ってくるサーシャ。


ミーナも捨て難いがやっぱり俺的にはサーシャかなぁ?なんてことを思う。


「あ、あのもう1回キスしていいですか?」


そう言われて返事をする前にキスされた。


「ご、ごめんなさい」


そう謝ってくるサーシャの頭を撫でながら体を拭いてやる。

このままだと風邪になってしまうだろうし。


そうして服も新しいのを着せてあげる。

帰ってくるまでに適当に買ったものだ。


「似合ってる」

「ほ、ほんとですか!」


俺の胸に顔を埋めるサーシャ。


「私ご主人様に買われて凄く幸せです!」


そう言ってくるサーシャ。

その時ガチャりと俺の家の扉が開いた。


そこに立っていたのは


「お、おう。どうしたよセツカ」


アルフだった。

別にノックはいらないと言ってあるがタイミングが悪い。


「お、お前!そ、その子!」


ワナワナと震えながら俺を指さしてくるアルフ。

そのままズカズカと入り込んできた。


「そこは俺の場所だぞ!君!」


アホなことを言い始めるアルフを無視してサーシャと台所に立った。


「無視すんな!セツカ」

「何の用なんだよ?」


料理が出来るというサーシャに任せて俺はアホフレッドの相手をしてやる。


「人の家に何しに来たわけよ?」

「ゼスタとは一夜の関係に終わったんだ」


あっそ。

要するに振られた訳だ。

どうでもいいけど


「それでお前になぁ!慰めてもらいに、ぶっ!」


俺はアルフの顔面をとりあえず軽くぶん殴っておいた。


「目を覚ませよ。俺が1番ありえねぇだろうよ」


そう言いながらサーシャを見た。


「あんなに可愛い子いるのに何でお前のようなアホの相手をする必要があるよ?」


そう言うとサーシャが照れていた。

その姿も可愛いな。


「俺も奴隷買ってくるわ!バブゥ!バブゥ!!ママァァァァァァァァァ!!!!!」


アホが俺の家から出ていった。

それを見て俺はサーシャの隣に立った。


「なぁ、サーシャ」


そう言いながら話しかけた。


「俺はラグナロクタワーを攻略したいと思ってる」

「あ、あの塔をですか?」


コクリと頷く。


「だ、誰も踏破したことがない塔ですよね?」

「その1人目に俺はなるつもりだ」


一つ考えていたことがある。

今日のトーナメントで一つ思い至った。


セツカの使い方をみんな多分間違っていた。

このゲームは敵の攻撃を避けて体力を維持しながら戦うゲームだとずっと言われていた。


でもセツカだけは違うんだよ多分。

このキャラはダメージを受けながらそれでも敵にそれ以上の攻撃を与えて殴り倒すキャラなんだと思う。


それが出来るようになるまでが果てしなく努力が必要なだけなんだと思う。

そしてそれをするにはサポーターが必要になるはずだ。

そこで


「俺はサーシャに俺のサポートを頼みたいと思ってる」


俺が敵に張り付いてこの一身に全てのダメージを受けながらアタッカーを務めるという話をする。

つまり俺はタンクでありアタッカーでもあるのだ。


それを可能にするには、ヒーラーによる回復魔法を常に受ける、という事が前提になってくる。

俺がサーシャを選んだのは見た目だけじゃない。


この子はヒーラー向きだそうだ。

だからこの子を選んだ。


「え、えっと。サーシャなんかに出来ますでしょうか」


そう恥ずかしそうにするサーシャに答える。


「それで俺が死んでも君のせいじゃない」


そう言って俺はベッドに座り壁際の窓から外に目をやった。

そして呟く。


「あと一人、ヒーラーが欲しいな」


ファイラグで1番使われていた編成はアルフレッド、ミーナ、ここまではテンプレだった。


となると


「ミーナを仲間に出来たらいいが」

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