第17話 現在は?

「ねえ、赤瞳とうさん

「なんですか?」

「サキやユリさんが居るけれども? 赤瞳とうさんの考える現在は、ギリシャ神話を予言としているから、ゼウスやヘラの傲慢がまかり通っているの?」

赤瞳わたしが悪意から逃げ回ったから、そう考えたのですね」

「だって、高水準の文明が、科学で解明されたから、発明家のプロメテウスを科学の父に見立てたんじゃない?」

赤瞳わたしが自然科学に導かれたから? ですか」

「どう? 繋げるの」

「自然の脅威? を紐解いたのが、科学の始まりとすると、発明者たちの閃きになり、それこそが化学反応になります。その意思を受け継いだから、科学が発展を遂げたようにみえますよね」

「必要としたから、発展したわけね? とすると、神話が綴られたのが後付けで、それを御告げとしたの? だったら預言者は、美味しいとこだけつまみ食いしたことになるよね」

「そうなりなすが、ボロが想いであることまでたどり着けなかったから、残したはずです」

「その見本が聖書だったわけ?」

「見つからないように影に隠れたプロメテウスを、これまた影で支えたヘスティアさんが、卑弥呼さんに繋がり、謎多き? に繋がります」

「だったらなんで? 姿を現したのよ。隠れるのは見つからないことが前提で、表れた事実を捉えるための神の眼は、六弟さんも持っているのよ」

「そのことを忘れてまでも護りたかったものが、プロメテウスの想いだから、必然的が生まれます。そしてそれが、恋を育てた結果だから、愛になりますしね。身近で妥協できない、って、楓花は云いましたが、育んだ結果が愛ですから、その距離は必要ありませんよね」

 楓花の納得は、ぐうなかった。ただ、創世主かんせいさまを介して存在を確かめたのが素数だったから、見つけられる者が、光ると表現している。

 想いをかよわす疎通が速いことから、想いは育まれて育ち、光の速度を越えるのだ。そしてその『想い』という空想が、今という実社会を産み出した? となる。


 だからうさぎは、感性が万物の母であり、創世主と定めたのである。


 日の本の國に云い伝わる『百歳まで生きれば、主に成れる』という想いを重ねるには、イバラの途を生き抜く志を育てて欲しい願いが込められているのだった。



「話しは変わるけれど、旦那まるちゃんは何処に居るの?」

 サキは、育むために必要な伴侶のことを気遣って云った。

 それに併せるように、うさぎのスマホが鳴り、冥想に躓きそうな人間に気付かせていた。

「丁度今、まるちゃんの話題をしていたんですが、朝宮邸に来てください」

「そんな気がしたから、近くに居ますので、ダッシュで行きます」

「慌てなくて大丈夫」

 サキがうさぎのスマホを手繰り寄せて声を張った。

「そそっかしいんだから、躓かないでよね」

 ユリも声を張り云った。

 うさぎ親子はそれを、笑顔で見守っていた。その団欒こそが、プロメテウスとヘスティアが夢みたもので、現世の希望へと繋がるのであった。



                     完

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躓き  2 うさぎ赤瞳 @akameusagh

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