第15話 次いでだから、追いて来る?
想い出話に華を咲かせる、ふたりの息が次第に重なり始めると、重たい脚をあげることに繋がり、善は急げの如く、早急に立ち上がった。華がもたらした効果が呼び水となり、うさぎも連れ立つのが常道であった。うさぎはその概念を探るため、異論は唱えず、内心でその経緯を探りながら、無言で追いていた。
先ずは、ふたりの関係性となり、姉妹意識の芽生えを模索していた。どちらかと云うとやんちゃの? 楓花は繊細な感情を持っていたから、リストカットの傷痕を持ち、表現力の乏しさを経験のなさに繋げられなかったはずで、その根本が、うさぎの存在を把握できなかったからだろう。頼るはずの兄弟姉妹が居ないことから、サキを姉の様に視ていた? となる。
サキは天然に見えることから、母性本能が働き、妹の様な存在の、楓花を受け止めた? のだろう。幼心の弱点は、躾を信じる余り、矯正力に逆らえない。見えない赤い糸を信じるから、それが運命とさえ想い込んだはずだ。家庭内に存在する悪意に気付けないのは、そのためであった。
その歪みの中心が、男女の考え方の違いだから、見えない赤い糸が絡んで要ることに気付けなくて当たり前だが、その絡みの原因が世相だから、誰しもの不安は拭い去れない。世相は? と云うと、敗北から立ち直るために、足並みを揃える必要性を唱えていたから、細部まで見る余裕がなくて当たり前だが、裕福な者が考えることは一緒で、苦労して得たものを簡単に差し出すはずもない。
溜め込んだ時間の永さに比例して、業突の信念を歪ませながら、現在にたどり着くはずだ。これも見えないものだが、螺旋状を
歪みの行き着く先が、捻れを生んだとなると、その捻れを戻すには、逆転の発想になるわけだが、人口の全てに逆転が必要かは、固定観念が受け入れない。
代表者に委ねる仕組みは、古代から継承されているし、勝ち負けに左右される仕組みならば、歴史事態が疑問に堕ちる。そこで初めて、確証にするための数学が現れる。そうやって顕れるのが深層心理で、簡素化するために哲学を用いた。隠された真実にたどり着くには、まだまだ遠く及ばない? ということなのだ。
そのために必要なのが休息で、ここにも個性が存在するから、平均値となるが、想いに隠れた悪意はここで、化学を障害物に選んだのだろう? 急かす想いと、冷静さを求める脳(情報処理)機能が対極することは織り込み済みで、盲点に導くことを常套手段とする悪意は、眼先を眩ますために仕込んだものを化学と気付ける者を篩にかけている。そうやって、一気に目減りを謀ったのだ。だから、冷静な判断をするために、休息が必要なのである。冷静になると、物事の歪みが、自身によるものか? と考え直させる。そこで生まれるのが、他人の意識で、悔やむことが合理的に想えなくなる。何故ならそこに、建設的な発想がないからで、想像できる範疇を狭めるしかない。だからだろう、他人に話すと一段落して納得できるのが人間なのである。
他人が仲良しなら尚更、良好に考えるものだし、恩師や教師ならば、粗は探さないはずだ。これが矯正力で、傲慢に
うさぎはその潜む者を、警察の力を利用して叩いたが、埃が出るうちは、後継者となる者が顕れることを肝に銘じていた。ただ、悪意にまみれた先代は既に他界していることから、記録に群がる輩たちに注意を向けていたが、その輩たちを
僧侶たちに悪気はないが、食のための道具を武器に替える思想は、狡猾な詞で
詞という知恵に対極が存在することに気付けなかったのは、管理監督の責務の大変さが、お座すだけでできたからで、仕事が楽だと見間違ったはずだ。そこに背景があり、善行と悪行の違いを躾なかった親の責任にしたのだろう? 昔話に登場する人物が、おじいさんとおばあさんなのは、家族の口を潤すために、田んぼや畑を耕すのを生業としたのが、父母だった? ということで、目に入れても痛くないと云う祖父母に託したのが現状であったからと続く。
そこに血液中の記憶が騒がないことから、そこに落ち着いた? と想えた。嫁と姑の確執? を生み出す前は、家督が家紋に顕れるように、御家が大事だったはずで、分家を認めることができるのが、領主であったのだ。ただそれが、共産主義ではないために、領土を分散する謂れは、失敗や遅れの処分とされた。
統括するために、温情がかけられなかったのは、領土は領主のものという慣わしが続いていたからで、それは日本書紀で、神が造った國という記述で解る通り、税を納める理由とされていたからだ。だから、神社仏閣を造る者は、その税を掠めとることを許された? と勘違いさせたことが始まりで、一揆が起きる状況すら、叛逆と残している。もしもそれが、革命になっていたならば、鎖国は生まれないし、早くから維新は起こっていたはずで、本当の自由を手にいれていたかも知れない。そうやって残した歴史に、嘘はなかったはずだ。
という諸般の流れに戻されたことは紛れもなく、責任の所存が曖昧で、逃げ口上が出世の定めだったから、役人や議員に悪気のない悪行が行われて終う。本来、大和男子が訴えるのだが、負け戦で男を減らした実情は、移民で補充を謀ったから、そういう
うさぎが、見終えた回想に納得をした頃、目的地である朝宮邸に迫っていた。心なしか胸騒ぎが措こって要るのは、善からぬ知らせを察知していたからだった。前を進むふたりは、心ここにあらずを戯れで現していた。
「躓かないで下さいね」
うさぎはなにげに放った詞で、ふたりに注意を与えていた。
「どうしたの、赤瞳さん?」
朝宮サキは無邪気に訊き返した。
楓花はそれで、虫の騒ぎがもたらす忠告に気付いた。
「ねえ? 遺骨を取りに行く、とは云ったけど、法要をしてとは云ってないよね」
「云ってないけど、気を利かしたならあり得るよね?」
「だとすると、お坊さんの手配が、速すぎなくない」
「たまたま空きがあったから? とか、なんじゃない」
「そうかも知れないけれど、注意するに越したことはないし、万が一に冷静でいられるからね。取り越し苦労だったなら、それで良いだけだから、見えるものだけは見逃さないでよ、サキ」
「? 解った。一応、注意しておくね」
と云った途端に、サキはスキップをしていた。久方ぶりなのは解るが、その節操のなさを、考えるべきよ、とまでは、楓花も云えなかった。
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