第8話 願いや祷りが届く先は何処だろう
その日の
うさぎはことの外、感性で繋がる限界に興味を示していた。限りなく拡がる宇宙の規模は、人間の想像を絶していて、抑え切れない希望に溢れているはず? と、未だに想っているからである。
それ等を整理するつもりでいたが、回想に至った思想は、楓花の苛立ちに接して、円満を模索した思惑であった。
「記憶に残すのは、感情に左右されるであろう 感性に? 踏み出す気力を持たせるためなんですよ」
「だとしたら、
「
「だとしたらば? それを教えるために、神々を必要としたことになるわ。
「やり直し? が必要だった理由から、人間が幼い生命体であることを教えています」
「後付け、だった理由は?」
「停まることのない刻に期待したものが、恩情であったからじゃないですかね」
「情けが芽生えることを期待した? ならそうなるでしょうね」
「期待ではありません。産み出せることが、それを証明しています」
「そのための、オスメスだったなら、バイセクシャルを生み出した現在の世の中が、
「物語の始まりが、神話と云われる
「だったら、必要のない生命体になっちゃうから、すべての生命が必要とされる
「その方向性を言い訳とするから、人間がもたらす概念が、紛い物であることを証明しています」
「ならば、
うさぎはこうなることを予測したから、想いが漲るのを待ったようだった。胡散臭いしたり笑みをこさえたのは、自身の心をせせら笑っていたからである。
「神々の疎通は、人間と云われる前の、ホモサピエンスが、獣たちに? この場合、獰猛という括りにして措きましょう」と、前置きしてから、淡々と語り始めた。
「想いに善悪が発生するから、正しいことを証明できないのが、現実なんです。生き延びるための行いを悪行と定める宗教は、欲にまみれたものです。それは、自らに試練を課した、尊師たちの名声に溺れた? からかも知れないですがね。弟子たちが越えられないことを悟った時に、言い訳を持って正論にしたからで、その落とし穴を造り出したのが、観音様や意思で繋がる賛同者だから、二番煎じを意味嫌うのです」
「それって、お釈迦様とキリスト様を指して要るんでしょう?」
「その方たちが、自身の心に投げ掛ける問答を、修行で身に纏った御光?と、
「疎通って、意識の中で行うものでしょう? だとすると、御光ではなく、嘆きなんじゃないの」
「バカという仏教用語は、ボカというサンスクリット語が起源と、僧侶は云いますが、神々の語る言葉は、吐き出されたものが還元され、消えるものです。消える時に刻まれるのが約束を意味しますから、残す必要性がないのです。そしてその事に気付ける心を愛でるために残したものがサンスクリット語になります。神々が消えるものに濁点表記を施すことはありませんから、フォカが神語と繋げられ、
「?、そうなると、ハカになる訳で、バカを表記とする日本語は聴き違いなんじゃない」
「錯覚なら、理解できますよね? 悪意が錯覚に導いたなら、バカにする
「それが募って、日本を嫌いになった訳なの?」
「真意を必要とした悪意が導きますからね」
「だからそれを手のうちに修めることを、知恵としたのね?」
「折角持った知恵ですから、自身に都合を合わせるのが人間の悪意で、それを隠すための言い訳が存在することで解るように、百鬼夜行が心の善意を蝕んだから、隅に追いやられたのが世知辛さの真意となり、現在の彩りを隠すための策略なんです」
「霞まされた眼が、錯覚という自覚を奪い、言い訳を主張できるから、彩りを見間違った? ってなる訳なんだね」
「始まりから存在する民族が蔑まされた事実は、勝ち組に付こうとする浅ましさを露呈したからで、怠け者が量産された経緯はそれぞれに違う感性が供託したからと推測できます。獣たちのエサだったホモサピエンスの血がもたらしたと繋がるから、危機感が薄れる変わりに、本性として顕れたのでしょうね」
「なるべくしてなった、と結論付けたわけね。でもそれは持論を否定するから、絶滅危惧種に据えたの?」
「見境を失くした心が求めるものが連鎖であり、真面目を蔑む被害妄想から、悪意を正義に置き換える人間が続出して、輩に堕ちるしか方向性を失くします。心に宿る神々は居場所を追われ、悪意の脅威から、悪魔に変わるしか失くなります。体よく崇めた結果ですから、人間が招いたことに気付けるはずですが、人間を非実体に変えるために絶滅を経験することから、絶滅危惧種に据えるしか失くなります」
「その事に気付けない理由が、身から出た錆だからって云うの? エサから逃れた運命は循環の法則に従って、振り出しに戻されるって訳で、その経緯が自業自得だから、
「悪意が隠したものが経験値であって、諸般の掟に逆らえませんからね」
「諸般の掟が、罪と罰であることを、聖書に残してあることに気付けてないもんね」
「図書館に通った意味が解ったようですね」
「聖書で気付けないなら? って、残すことに拘ったものの、存在までもが抹殺された事実が、
「後の祭に未練を残すのが、気付けない愚かさを本性に隠し持つ、人間の魂胆が解っているだけに、口惜しい限りですがね」
「見えない格差の影に隠された魂胆かも知れないね」
「善い傾向ですが、魂から記憶を奪った結果が見えないようでは、妾の生活を安定させるために謀った経済の父と同じであることを弁えて下さい。国の看板というべき紙幣価値を下げてまで固執する貿易黒字は、国の元であるべき民衆を蔑ろにする政治に、将来を託せなくしました。未来に繋がるものを潰しているから、絶滅危惧種に据えられたんです」
「政治がそれをしなくても、メディアの暴走で、同じ末路に辿り着くはずよ。循環の中で引き抜かれるものがお金だから、費用が嵩むんだからね。
「辿り着くのは、輩ではなく妖しです。人間の内に潜む善意を蝕んだことで迷宮に迷い込ませ、想像が妄想に変えられて終いました。息吹きの活性でみえる習性で解るように、魔性と比べても、比較にならないほどの違いが出ましたからね」
楓花が造った笑みと、一緒に吐き出される息吹きが、鼻を膨らませていた。
うさぎの云う拡がり続ける宇宙は、若しかすると生命体の息吹きであるような気がするが、大元が元素である以上、たった三つの行いで膨らむのである。活力の源を悪意に変えないために、気付いて欲しいという願いなのか? はたまた祷なのか? は、それぞれの感性に従うしかないと説いたのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます