第3章 王都事変

第37話 戦果など



 ベネ領が降伏した!


「お、お許しを……」


「もう悪いことは考えぬ」


 相手方、なんだかめっちゃ怯えてんな。


 こういう時はさっさと話をまとめてしまった方がいい。


 その場で和平交渉に入った。


 これにより……


 敵領地の『塩田』250コマを獲得!


 賠償金1500万ゴールドを獲得!


 領民のジョブレベルが3ずつUP!


 領主レベルも5に上昇!



―――――――――

領主レベル:4→5

称号:転生領主

HP:356→424

MP:127→177

ちから:186→230

まもり:152→197

魔法:亜空間C、ほのおE▽

特殊技能:ステータス見、痛覚耐性、移動速度2倍、身躱みかわし、壁抜け(New!)

―――――――――



 獲得した領地はこの前よりも小さいけど、それは『塩田』の一部であることに価値がある。


 これまで輸入しなければならなかった塩を国産できるんだからな。


 ただし、必然的にビーチ……つーか小さな島であり、俺にとって初めての“飛び地”の領土ということにもなる。


 それから久しぶりに領主レベルも上がった。


 つーか、HPが400を超えたな。


 ここまで来ると戦場で矢が当たってうっかり即死ということも少なくなるのでちょい安心だ。


 特殊技能は『壁抜け』か。


 壁抜けはその名のとおり、壁を通り抜ける技能である。


 これまたちょっと微妙な技能だなあ。


 そもそもTOLは領地の内政したり、他領と戦争したり、モンスターと軍団で戦ったりするゲームだ。


 だから、壁抜けが必要そうな場面などなさそうに思われるが……


 例えば王都の城や関所などで秘密の小部屋にアイテムが隠されていたりするのを探ったりできる。


 そういうのをしらみつぶしに探すのが好きなプレイヤーからは好まれる技能だった。


 だが、現実でそんなことをしては泥棒もいいところだ。


 壁抜けができるからって勝手によそからモノを持ってきていいはずはない。


 結局、俺が『壁抜け』を使う場面ってのはなかなかなさそうである。


 技能についてはまた次のレベルアップ時に期待するしかねえな。


 次こそ『落下耐性』とか『修復』の技能が欲しいところ。




 さて、こうして塩戦争が終わったので内政をしておこう。


―――――――――

領地:ダダリ

領主レベル:5

領土:1750コマ→2000コマ

人口:750→800

兵力:90

魔法:27→35

産業:農92→101 工175→178 商22→75

施設:家屋150 畑9コマ 水車1 訓練所1 祠1 魔法研究所1 鉄の錬金工房1

資源:→鉄、塩

外貨:+1960万G→+3460万G/-787万G→-923万G

内貨:――

―――――――――


 商業が伸びて来た。


 これは工業と農業が伸びて、これを取引するジョブ商人たちの技能があがっていることを意味する。


 逆に、工業と農業は伸びが鈍化しているな。


 工業は『鉄』という新要素で伸びる分が伸びきっているので、劇的な成長させるためにはまた魔境を攻略して新要素を獲得しなけりゃいけない。


 農業はまた荒地を開発して畑を作ればもうちょっと伸びそうだ。


 行動力のある農民に命令しておこう。


 それから人口が50人増えているけど、これは塩戦争で獲得した小島に住んでいる人々の人数である。


 彼らとも円満な関係を築いてうちの経済循環の中に入ってもらう必要があるが、それには【船】が必要だった。


 TOLのプレイヤー領地には必ず川が流れているし、ダダリにももちろん流れている。


 飛び地の領土を獲得した時は、川から出る船によって本土との循環が可能になるのだ。


 川から船が出れば、商人が島の人間たちと塩を取引して往復するので、また商業値も伸びるはず。


 船を作るにはジョブ『船大工』がいる。


 船大工を育てるには、ジョブ『大工』を王都の造船所に留学させる必要があった。


 小型船で1人、中型船で3人、大型船で7人。


 今のところ中型船があればじゅうぶんだし、留学は3人にしておくか。


 そもそもモノづくり系の基礎ジョブ『クラフター(工作者)』は150人いたが、そこから45人は大工に進化している。


 だったら7人留学させて大型船を作れるようにしておく方がいいという考え方ももちろんあるけれど、通常の大工は大工でスゲー重要なジョブなのだ。


 というのも、領内の施設を建設したり、アップグレードしたりするのは他でもない大工なのだから。


 とりあえず留学させる3人を選んで……


 それから42人の大工の行動力の割り振りを見直しておくか。


 魔法使いの能力を上げる施設『魔法研究所』のグレードを上げる。→大工3人


 回復魔法やポーション作成する施設『ほこら』を進化させて『やしろ』にする。→大工3人


 剣士や槍使いたちのレベルを上げる『訓練所』のグレード上げる。→大工3人


 鉄の錬金工房をもう一つ増設する。→大工2人


 ライオネとの領土のさかいに作ったほりの上に『城壁』や『矢倉』を建設する。→大工10人


 領民たちの家屋を増築したりリフォームする。→大工15人 (これをやっておくと人口が増える)


 あとはやかたの拡張――つまり俺んちをデカくするのに大工6人。


 まあ、俺んちは別に狭いって感じはないんだけど、やかたを広げておくとフラグ抽選の確率が少し上がって『嫁』ができやすくなったり、剣や魔法の腕に覚えのある食客がやってきたりするからな。


 こうしてみると大工がもう少し欲しい。


 だが、モノづくり系生産ジョブは他でも人手が欲しいところ。


 土木技師、掘削者、鍛冶、錬金術師、木工、石工、焼き物師、革細工師、綿糸工……


 これらはすべてクラフター(工作者)からの派生ジョブで、最初にこれに就けた150人はすでにいずれかのジョブに進化している。


「仕方ないな。クラフターを増やすか……」


 俺は新たに領民20人へ『クラフター(工作者)』のジョブを与えた。


 また彼らを育てて上記のモノづくり系ジョブへ進化させていくこととなる。


 まあ、正直言うと20人でも全然足りないんだけど……しかし、これ以上は増やせそうにない。


 そう。


 人口が足りないのだ。

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