猫13匹 転生猫人の怒り

夕飯の後、イル、アニー、マルルちゃんのお腹が落ち着いた頃、三人に前世や日本のことを教えた。


「これも他言無用。誰にも言っちゃ駄目だよ。」と言うとまたアニーが両手で口を覆い何度も頷いた。

その行動に可愛いなぁと癒された。


ゆっくりしていると初めてメリトラの声を聞いた時のように頭?に直接メリトラの声が聞こえた。


『マスターだけに声をかけています。』

「ルドアお姉ちゃん、私、ニホンの料理を作りたい。」

『外でテントに触れようとしている者達がいます。』

「……」

「ルドアお姉ちゃん?」

「え?何?」

「私、ニホンの料理を作ってみたい。」


頭に響くメリトラの問題発言に気を取られ、イルに話しかけられていたことに気付かなかった。


「いいんじゃないか。」

「本当っ?」

「うん。メリトラ、イルに日本の料理を教えてあげてくれないか?」

「わかりました。イル様よろしくお願いいたしますt。」

「メリトラさん、ありがとうございます。よろしくお願いします。」


イルはメリトラをさん付け呼び、メリトラはイルを様付け呼びで、どちらもさんを付けなくていいと言い合っていたが、どちらも譲らずそのままの呼び方になった。


仲は良さげだけどね。


「あ、こっちの世界の食材で再現できたら、嬉しいな。」


こっちの食事が美味しいかわからないし似た食材があるかもわからないが、ヴィトラジャート様の譲渡品の日本産の食材は数に限りがあり、もう手に入れることができない物だから、極力使わないようにしてもらいたい。


「頑張る!」

「頑張ります。」

『外の事、どうしますか?』

「ちょっとトイレに行ってくる。」


席を外し、トイレに入る。


「メリトラ、聞こえる?」

『はい、聞こえます。』

「外の事って言ったけどテントの外の様子がわかるの?」

『はい、テントの周り360°の様子がわかります。』


360°カメラのようなものか?


「なるほど。今はどんな状況?」

『口に出さなくても、言いたいことを相手へ届くよう念じると伝えることができます。』

「……そうなのか。」


『こちらルドア、聞こえるか?どうぞ。』

『こちらメリトラ、聞こえてます。どうぞ。』

『それで外の状況を教えてくれ。どうぞ。』

『今は三人の男がテントに耳を当てています。どうぞ。』


三人の男。

あいつらか?


『どんな男だ?どうぞ。』

『小汚い男達です。「静かだな。寝たか?」「もう入るか?」「俺は上の姉な。」「俺は下の姉だな。勿体ないと思ってたんだよ。」「しょうがない。一番下の娘でいい。」「いやもともと小さい娘が好きだろお前(笑)」と会話しています。どうぞ。』


怒りが込み上がる。


『茶番は終わり。そいつらは中に入って来れないんだな。』

『はい。所有者、登録者以外は中に入れません。』

『俺が入口から出た瞬間でもか?』

『入れません。』

『そうか。』


イル達に内緒で出よう。


『脱いだ装備とかはどこに置いた?』

『少々お待ちを。』


本当に少々だった。


『マスターのパジャマのポケットに収納スキルが付与されています。ウエストポーチと繋がっていまして、下着や防具など洗浄スキルを使い、収納しました。』


メリトラの言葉通り、ポケットに手を入れると収納物がわかり、防具などを出して着替える。


『外に出る。三人には誤魔化しといてくれ。』

『わかりました。』


忍び足で廊下を歩き、靴を履き、玄関を静かに開けて出て閉める。

テントの出入れ口は入った時見ていなかったから気がつかなかったが、テントの出入れ口のドア?の大きさくらいの空間に外の様子が見えた。


マジックミラーみたいな感じだ。


クソ野郎共が出入れ口の前にいるのが見える。


さっさと済ませよう……


「「「うおっ!?」」」


テントから出るとクソ野郎共ABCが汚い声を出して仰け反ってテントから離れた。


「テントの前にいたが何か用か?」


クソ野郎共に聞きながら魔力を意識して外に出した。


「お、女だけだったからな。見張りをしていたんだ。」

「「そ、そうだ。」」

「見張り?オークから逃げたヤツらが?小さな子を囮にしたクソ野郎共が見張りをできるのか?また尻出して鼻水涙流しながら逃げるんじゃないか?というか臭いからテントからもっと離れてほしいんだけど。あ、その前に妹の足を踏んだヤツ誰だ?」

「「「……」」」


黙って聞いていたクソ野郎共がぷるぷる身体を震わせる。


「身体を震わせて、どうした?あ、本当は怖くて怖くて不安なんだな。無理しなくていいって。」

「「「クソアマがっ!」」」

「なに?図星を言われて逆ギレ?恥ずかしくない?」

「お前が恥ずかしいことになるんだよっ!」

「気持ち良くて身体を震わせるのはお前だっ!」

「お前の前で妹達を犯しぐああっ」

「「!?」」


「妹達」発言をしたクソ野郎Cに一瞬で近づきクソ野郎Cのあそこを思いっきり蹴り上げた。

あそこを押さえて蹲るクソ野郎Cを見下ろす。


「てめぇっ!」

「何しやがるっ!」

「最低な事を口にしたから、つい。正当防衛からのぼこぼこにしようかと思ってたんだがな。」


クソ野郎共AとBが剣を抜いた。

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転生猫人の新生活。~色んな猫と戯れて幸せです。~ 山宗猫史 @kiratokuro

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