猫9匹 猫娘達と魔力の循環

「私も住む。」


ヴィトラジャート様に大感謝の念を送っているとマルルちゃんが無表情で驚くことを言った。


「え?」

「私も住む。」


マルルちゃんが表情を変えずに同じ言葉を言った。


「あー、まぁ、報告を一緒にしてくれるからカールドさん達と合流するまで住んでいいよ。」

「違う。これからずっと。」

「えっ?ずっと?!いやいやカールド達とパーティー組んでいるよね?特級パーティーなんだよね?無理じゃない?」

「抜ける。大丈夫。」

「マルルちゃんも一級組合員でしょ。カールド達が手放さないでしょ。」

「大丈夫。」

「お、私、組合員でもない一般人だよ?」

「神の子は一般人じゃない、最上位人。組合員はこれからと登録すればいい。すぐに特級組合員になる。」

「なに最上位人って?!バレたら面倒事がありそう!住んでいいから絶対他言無用でお願いします!」

「最上位人は神々が産み落とした始精人、始獣人、始龍人などの各種族の始祖を指します。マスターは猫人族ですが神の子でありますから最上位人の中でも最上の位に入ります。」

「うわー。絶対バレたらダメなやつだー。イル、アニー、絶対俺が神の子だって言っちゃ駄目だよ!一緒に暮らせなくなるから!」

「うん!絶対言わない!」

「はい!言いません!」

「わかった。」


アニーがそう言って両手で口を覆い何度も頷く仕草に可愛いと和むが、他にバレたらヤバいことになることはないか聞く。


「この神器とルドアの漏れ溢れる異常な量の魔力。」

「確かにこのアイテムはヤバいね。気を付けよう。漏れ溢れる魔力って?私から魔力が漏れてるの?なんか恥ずかしいな。」

「多く漏れてますね。」

「異常なほど。神の子なら納得した。猫人族では異常なほど。」


漏れているって、なんか嫌だな……


「えーっとどうすれば漏れないようにできる?」

「魔力を身体の中で循環させればいい。」

「もしくは魔道具などを使うですかね。」

「魔道具、このアイテムではできない?」

「中にいるか触れている間はできます。ウエストポーチからもできます。」

「じゃあやってほしい。」

「魔力の循環はできるようにした方がいい。」

「そうですね。上手くできるまではウエイトポーチからマスターの漏れる魔力を吸収いたしましょう。」

「それがいい。じゃあお風呂行こう。」

「え?お風呂?なんで?」

「魔力の循環の訓練。」

「風呂場で?」

「汗かく。」

「わかっ」


いや待て俺の身体はヤバくないか?お風呂ってことは裸だよな?ってことはあれを見られてしまうよな?一緒に入るなんて無理じゃね?タオル巻けば大丈夫か?

なぜタオルを巻くの?恥ずかしいからと理由でいけるか?


「風呂場じゃなくてもいいんじゃないか?」

「すぐ汗流せる。風呂場の方がいい。」

「いや、でも。」

「食事の用意をしておきますので、さっぱりしてきてください。」

「ほら、行く。」

「マルルちゃん、わたしも一緒に入ってもいい?」

「わ、私もいいですか?」

「いい。」

「ありがとう!ルドアお姉ちゃんいこっ!」

「いや、ちょっと」


アニーに手を引っ張られて風呂場に連行された。

脱衣場ですぱっと真っ裸になったアニーは尾てい骨から伸びる尻尾と小ぶりの可愛いお尻をふりふりしている。

恥ずかしながら裸になったイルは尻尾と腕で身体を隠しながら俺をちらちら見ている。

特に何も気にしなく裸になるマルルちゃんが脱がない俺を見る。


「早く脱ぐ。」

「あー、4人だと狭いから、私は後で入ろうかなー。なんて言うのは、嘘です。入ります。」


言っている途中、アニーとイルが泣きそうな顔をしたから、撤回してしまった。

上を脱ぎ、ブラジャーを外し、下もパンツ以外まで脱いだ。


ふと閃いた。


パンツを履いたまま入ってもいいんじゃないかと。

メリトラが俺の着ている服に洗浄スキルが付与されていると。

洗浄かけて風呂を上がった後も洗浄すればいいんじゃないかと。


そう思いパンツを履いたまま行こうとする。


「ルドアお姉ちゃん、水浴びは裸じゃないと駄目なんだよ。」

「うっ……」


脱ぐしかないのか……

先に言っておこう……


「えーっと、私を嫌いにならないでね。」


猫娘達に嫌われたら当分立ち直れない。


「ん?ルドアお姉ちゃんを嫌いになんてならないよ?」


3人が不思議そうに俺を見ている。

そして、俺はパンツを脱いだ。


みんなの反応は……


「お爺ちゃんと同じのがついてる!」

「えっ?!あわわわ……」えっ?!で両手で目を隠し、指を開けすき間からあれを見てあわわわと言って見ている。

「……」凝視。


イルと同じように尻尾で隠す。


隠せていないけど……


タオルを巻く。


き、嫌われてはいない、かな?


「嫌いに、なった?」

「え?なんで?」

「ど、どうして?」

「……」凝視。


3人に本当に、不思議そうに見られる。


「変、でしょ?」

「驚いたけど、すごく驚いたけど、それでお姉ちゃんを嫌いになったりしないよ。」

「うん!ルドアお姉ちゃんを嫌いになんてならないよ!」

「……むしろ好きになった。」凝視。


見て好きになったって……

いや、でも、嫌われなくて


「良かった……」


猫娘の彼女達に生えていても嫌われなくてよかったとほっとした。


「早く入ろっ!」


全然気にしていないように見えるアニーがすりガラスの戸をガラガラと引いて中に入っていく。

ぶんぶんと楽しげに振られているアニーの尻尾を見ながら、尻尾とタオルで隠してアニーに続き中へ入る。


風呂場は洗い場も浴槽も想像していたより広くて余裕で四人でも入れそうな広さだった。

というよりも木の風呂椅子と風呂桶、シャワーと鏡がちょうど俺達人数分の四つあった。


メリトラ管理人工知能が用意してくれたのかな?


あと浴槽側の壁と洗い場の壁の上部に時計が設置されていた。

そして風呂場の中は浴槽の湯のおかげか温度調整のスキルのおかげか裸でも寒いと感じない、良い感じの温度になっていた。


「暖かいねー!」


少しテンション高めなアニーが湯気が立つ浴槽へ小走りで向かう。


「アニー、風呂場で走っちゃ駄目だよ。」

「私とルドアは魔力の循環をする。」


アニーに俺とマルルちゃんが声をかけた。


「わかったー。」


アニーが返事をして小走りを止めて浴槽へ歩いていく。

ちゃんと話を聞けて偉いぞと心の中でアニーを褒める。


「マルルちゃん、私にも魔力の循環を教えてもらえないかな?」

「いい。」

「ありがとう!」

「えっ?お姉ちゃんもするならわたしも一緒にしたいー。」

「わかった。」

「邪魔しちゃ駄目よ。」

「はーい。」


兄弟や姉妹であるある(だと俺は思っている)小さい子がお姉ちゃん(お兄ちゃん)の真似して私もやる!する!やりたい!したい!を言ったアニーが振り返り戻ってくる。


マルルちゃんは椅子があるにも関わらず、タイルに直に座った。

イルはマルルちゃんの正面には座らず、一人分開けて横に座り、アニーはイルの隣に座る。


俺がメインで教わるから、正面を開けてくれたんだな。

イルは気が利く娘だな。


3人とも直に座るので、イルが開けてくれたマルルちゃんの正面に俺も直に座る。


「魔力わかる?」

「わかんなーい。」

「わかります。」

「わからない。」


マルルちゃんの質問に俺とアニーはわからない、イルはわかりますと答えた。


ゲームやアニメ、小説でなんとなく知っているけど想像物だからな……

わからないと答えた。


あっ、魔力のことといえば「魔力を使えば使う程、蓄える量が増えます。」とイルドアニーマ様が言ったことは覚えている。


猫達に不自由させないようにばんばん使いまくって魔力不足に陥ることがないようになろう!


「イルは魔法が使える?」

「はい。」

「凄いな。」

「えええっ?お姉ちゃん魔法使えるのっ?」


アニーが驚いた顔でイルを見た。


猫耳魔法少女か……

可愛い(猫耳少女)×可愛い(魔法少女)で最高じゃないかっ!


「種火の魔法だけだよ。」

「ずるい!教えてくれてもよかったじゃん!」


アニーが膨れっ面になる。


「もう少し大きくなったら、お爺ちゃんが教える予定だったの。」

「ううう。」


イルは哀しげに言い、アニーは哀しく思うけど、教えてもらいたかったという気持ちの少し複雑な表情を浮かべる。


こういう時どうすべきか……


「今はマルルちゃんの話を聞こう。」

「ううう。わかった。」


イルが若干拗ねそうになったアニーの頭を撫でる。


撫でるべきだったか……


イルはアニーの頭を自然と、慣れたように撫でている。


これが、本物の姉妹か。

いや、実際姉妹なんだから本物とかないか。

血の繋がりはないが俺も二人の姉妹に、姉になれるよう頑張ろう。

でもどちらかというと姉妹より姪っ子って感じだけど。

姪っ子なんていなかったけど、いたらこんな感じだったのだろうか?


「イルは魔法を使うように、魔臓から漏れている魔力を集めて、魔臓を中心にぐるぐるとゆっくりでいいから回す。」

「わかりました。」

「ルドアとアニーは魔力を感知する。」


マルルちゃんが俺達にやることを指示した。


「かんち?」

「感じること。」

「魔臓ってどこにあるんだ?」

「肺の間。」

「どこー?」

「ここ。」


マルルちゃんがアニーの鳩尾の少し上をつんつんする。


「ここにまぞうっていうのがあるの?」

「そう。」


目を閉じて鳩尾の上を意識をして魔力を感知しようと集中する。


「うーん……」

「……」

「うーん。わかんない!」


俺もわからない、何も感じない。


「アニー、両手を出して。」


何をするんだろうかと気になって目を開けてマルルちゃんとアニーを見る。


「はい。」


マルルちゃんが差し出されたアニーの両手を軽く握る。


「魔力を流す。」

「わわ!何か手から入ってくる!」


アニーが耳と尻尾をぴんっと立てて言った。


俺はアニーの耳と尻尾の動きが驚いた時の猫っぽくて、やっぱり猫の血が流れているんだなぁと癒される。


「それが魔力。動かす。」

「動いてる!」


アニーの耳も尻尾も元気よくぴくぴく、ゆらゆらと動いている。


俺は楽しそうに振るわれる尻尾を見て、なんだか自分も楽しくなる。

あれを隠している自身の尻尾が楽しい気持ちに反応して先端がぴくぴく動く。


「魔臓はここ。」

「ここなんだー。わかった。」

「自分の魔力を感じる。」


マルルちゃんが手を離し、アニーが自身の鳩尾に手を置く。


「うん!うーん…………あ!わかった!」


アニーがぴんと耳と尻尾を立てて嬉しそうに報告をした。


「魔力を動かす。」

「やってみる!むむむ……」


アニーが目を瞑り、眉を寄せて魔力を動かそうとむむむと言っている。


娘だからだろうか?

仕草、言動がなんでも可愛く見えるし、とても癒されるだが!

猫人族、最高に良い!


「マルルちゃん、私も同じことをしてもらっていいかな?」


気持ちがとっても幸せに満たされていると同時にお姉ちゃんとして何も感じられないことに少し焦りを感じて、マルルちゃんにお願いをした。


「そんなに漏れ出していて気がつかないのは不思議。」


体臭が臭うとか加齢臭がするなんて言われてはないんだけど、そう言われているように聞こえて恥ずかしいし、心に矢が刺さって若干傷つく。


「そ、そうなのか。」


さっきアニーに手を出してと言っていたから両手を前に出すとマルルちゃんが手を握ってきた。

自身の手とマルルちゃんの手を見て綺麗だなぁと魔力と関係ないことを思って、そして、思い出した。


見た目がアニーより少し大きい少女だから年下と思い込みをしてしまったが、マルルちゃんは自分より年上だった事実……


成人しているらしいことを思い出して、彼女の身体を見ないよう目をさっと閉じる。


成人女性とお風呂とかよくないことじゃないか?


「魔力を流す。」


後で訴えられたりしないか?

異世界に来て早々刑務所行きか?

慰謝料を請求されちゃうか?


若干パニックになっているところに、握られている手にマルルちゃんの手の体温とは違うなにかを感じ取った。


こう、なんか、少し圧迫されながら、何かが、握られている手から入ってきている。


「こ、これが、魔力?」

「む、押し返される。」


訴えられないか恐怖を抱きながら、恐る恐るマルルちゃんに聞いたが、無視された。


マルルちゃんがぎゅっと手を強く握ってきた。

それと同時に魔力?が手から腕へとゆっくりと流れてくる。


魔力?を流すことに集中しているから答えなかった?


異物が入ってきているとわかる。

けど嫌な感じはしない。と思ったら、急に腕から鳩尾に早く流れた。


「抵抗がなくなった。ルドア、魔力制御した?」

「え?いや、何もしていないよ。」

「そう?」


マルルちゃんの言葉に怒っているとか恥ずかしさとかそういうのを感じなかった。

変わらないマルルちゃんに訴えられるかもしれないという恐怖が引っ込む。


「ここが魔臓。」

「ここが、魔臓か。」


鳩尾を中心にぐるぐる回っているマルルちゃんの魔力?に似たような力を感じるよう集中する。

するとマルルちゃんの魔力?の周りに纏わり付く何かがあることに気がつく。


これが、俺の魔力か?と認識したら、マルルちゃんの魔力?の周りに纏わり付く何かと同じくものがマルルちゃんに言われた魔臓の場所と身体から漏れ出しているのを感知した。


「ほんとだ。漏れ出ている。」

「それが魔力。」

「これが、魔力か。」


なぜ今まで気が付かなかったが不思議でならない。


不思議なものだ……


魔臓からは次から次へと魔力が出てきていて、身体から漏れ出してある程度身体から離れると周囲に溶け込むように消えていく。


金髪にして髪を逆立てれば、魔力がわかる人には有名な戦闘民族の人みたいに見えるのかな?

あっ!そもそもネタが通じないか……


「━━ア、ルドア。」

「うお!な、なにかな?」


耳元で声をかけられて驚き、目を開けてしまい、間近にいたマルルちゃんの裸を見てしまった。

すぐにマルルちゃんの後方へ視線を向けて、ぼやけさせる。


「魔力を動かす。何度も声をかけた。」

「ご、ごめんね。魔力の感知に集中していた。」


誤魔化してしまった……

無視しまったことや裸を見てしまったこと、ちょっと関係ないこと(ネタ)を考えてたこと、色々な意味を込めて謝った。


「今度は、魔力を動かす。」

「わかった。やってみる。」


また変わらないマルルちゃんに安心しつつ、やってみると言ったものの魔力を動かすってどうやるんだ?と思った。

マルルちゃんの身体を見ないためと集中するため、目を閉じる。

改めて魔力を感知すると魔力は魔臓から出ている。


呼吸に合わせて出る量が変わっている。

息を吸うときに増え、息を吐くときに減る。

呼吸を止めると徐々に出る量が減っていって、最後に出なくなる、ということはなく一定の量が出続けた。


空気中に魔力を作るものがあるのか?

あっ、周囲に溶け込むように消えていった魔力を吸ったからか?


っと、今は魔力を動かすことか。

多くの小説だと血液のように流れるイメージをして動かすとか書いてあったな。

すごく大雑把だけど、血液は左から出て全身を回って右から戻ってくるんだったかな。


魔臓から全方向に出ている魔力の流れを魔臓から右半身に流れ左半身を巡って魔臓に戻るイメージをして魔力を動かそうと動け、動けと念じる。


「あ、動いた。」


思ったより簡単だった。

自分に魔力をこんな簡単に動かす才能なんてあるはずないから、神様が作り変えてくれたおかげかな?と思った。

イルドアニーマ様、ありがとうございますと心の中で感謝を言う。


イメージした通りに魔力が魔臓から右半身に出て流れ左半身を巡って魔臓に戻っている。


「おめでとう。最終的には身体から漏れないよう魔力を身体の中で循環させる。」

「ルドアお姉ちゃん早い!凄い!」

「お姉ちゃん、おめでとう!」

「ありがとう。」

「わたしも魔力を動かす!頑張る!」


マルルちゃんもイルもアニーにアドバイスとかをしていないから自身で動かすことを身につけることが重要なのかなと思い、何も言わず、アニーを応援する。


「頑張れ。」

「うん!むむむ……動けー、動けー。」


かわえぇ……


「最初は魔臓を中心にぐるぐる回す。」

「わかった。」


マルルちゃんの言われた通りにすると、魔臓辺りがぽかぽかと温まる感じがした。

魔力は熱を持っているわけでもないのに循環させると循環したところが温かくなる。

さっきみたく全身に循環を続けていたら、たしかに汗がかくかもしれないなと風呂場での魔力の循環を納得した。


魔力は意識すれば動かせた。

魔臓を中心にぐるぐる回す。

時にゆっくり時にはやく、時に急停止から急発進のように緩急をつけたり、回る速度を変えて動かした。

魔臓、鳩尾辺りからじんわりと温かさが全身に広がり、汗が出てきた。


身体が温かくなるというのは脂肪が燃焼したり、体内でウィルスと戦っているとかだったよな?


魔力の循環って前者だったらいい感じに汗をかくからダイエットに良いんじゃないかと、でも後者なら体内で何と戦っているんだ?大丈夫なのかとふと思ったけど、マルルちゃんとメリトラ管理神工知能が勧めたことだから悪いことではないかと思い直した。


あっ、漏れないよう常に魔力の循環させていたら汗っかきの人になっちゃうんじゃないか?

イルとアニーやヒョウカ猫娘達に汗臭いとか言われたらすごく落ち込む自信があるぞ……


「動いたー!」


アニーの大きな声に目を開ける。

アニーが嬉しそうな表情で万歳と両手を上げていた。


可愛いアニーを見て不安は片隅に追いやられる。


「お姉ちゃん!ルドアお姉ちゃん!マルルちゃん!魔力が動いたよ!」

「おめでとう、アニー。」

「お姉ちゃんはまだしもアニーがこんなに早く魔力を動かせるようになるなんて……」

「才能がある。」

「ほんとっ?」

「私は動かせるようになったのは五日くらいかかったわよ。」

「イルも早い方。」

「そうなの?」

「大体は三十日かかる。私は二日。」


イルとアニーが嬉しそうな表情を浮かべている。


うちの妹達、才能があるのか!

素晴らしい!


「でも、猫人族は魔力が少ない。」

「そうだね……」

「そうなんだ……」


打って変わって二人は悲しそうな表情を浮かべた。

俺は魔力がわかる?と聞かれたときに思い浮かべたことを口にする。


「魔力ならこれから増やせばいいじゃないか?」

「増えても微々たるもの。」

「イルドアニーマ様が『魔力を使えば使う程、蓄える量が増えます。』って言ってた。」

「!?」

「「!!」」


イルとアニーは期待した表情を浮かべる。

マルルちゃんは無表情だが目を少し見開いているから、驚いていると思われる。


「元々少ないから魔力を、魔法をあまり使わない。だから微々たるもの、使わないから増えもしない。神様が言うことなら確実。少なくても使い続ければ……!!」

「お姉ちゃん、イルドアニーマ様はそう言ってたの?」

「あぁ、聞いたよ。直接言っていたのを聞いたよ。」

「わたし、毎日いっぱい魔力を使う!」

「私も!」

「使う!」


アニーの発言につられてイルも、マルルちゃんもテンション高めに言った。

三人ともふんすふんすと高揚していて、尻尾がぶんぶんと左右に振られている。

マルルちゃんに尻尾がないのに、そのように幻視してしまう。


この娘達、可愛過ぎない?

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