第12話 レガルスの野望
〜〜レガルス視点〜〜
クソ! あのリンザとかいう忌々しい小娘め!
私に謝罪を要求してきやがった。
もう無視したが、あんな小娘に私が頭を下げるわけにはいかん。
この騎士団長、レガルス・バレインスタインは絶対に負けないのだ。
私は城の地下へと降りた。
そこは深い。特別な者しか入れない地下の広場。
「オババ」
「これはレガルス様。こんな場所に何用ですかな?」
「国王の呪いが解けてしまった」
「なんと?」
「解呪の計画を練りながら餌をやり続け、国王をモンスターにする計画がおじゃんだ」
「では、邪神ホシガルはどういたしましょう?」
広場には大きな魔法陣が描かれており、その中央には、大きな猿のような形をした黒い霧状の物が浮かんでいた。
「もう随分と育ったな」
「ひひひ。ありとあらゆる欲望を食べさせましたのでねぇ」
「よし。解き放とう」
「はい。では実体にするには人間の血が必要ですじゃ」
「なるほど」
「適当な人間を殺して、邪神に血を吸わせましょう。ヒヒヒ」
「ふむ。適当な人間か」
「はい。地上に出てさらってきてくださいな」
「その必要はないな」
「へ?」
俺の剣はオババの体を斬った。
「ぎゃぁあああああッ!!」
オババは絶命。
その血は邪神の元へと流れる。
「ククク。さぁ、吸え! その血を与えたのは私だ!! 私を主人と崇めよ! 邪神ホシガル!!」
この国を我が物にするためになぁああ!!
☆
〜〜ゴォ視点〜〜
僕たちは城内で数日間、体を癒すことにした。
ナナトナが国王の体が回復するのを確認してから王都ロントモアーズに帰る予定だ。
「あ、あの……。師匠……」
と、現れたのはドレス姿のナナトナである。
真っ赤なドレスに胸元はしっかりと開いていた。
随分と色っぽい。
みんなは目を見張る。
「どうしたんだ? その格好?」
「は、初めてなんですけど……。き、着てみました。へ、変ですか?」
いや、変ってことはないが……。
「わは! ナナちゃん可愛い!」
「あんた、王子になるのは辞めちゃったの?」
「そ、そういうんじゃないんですけど……。そ、その、折角、城に帰ってきたので……。き、着てみました」
折角の意味がわからんが……。
ナナトナは僕の反応をチラチラと伺っていた。
「あーー! ナナちゃんもしかしてぇ」
「な、なんだよ?」
「それ、ゴオさんに見せる為に着たんでしょう!?」
「違っ! 違うよ!!」
「えーー。絶対そうだぁあ!!」
「ち、違うけどぉ……」
と、ナナトナは僕を見つめた。
「ど、どうですか師匠?」
いや、どうって……。
「ドレスだな」
僕の言葉にリンザが突っかかる。
「んもぉ! あんたってば女心がわかってないだからぁ!」
「女心なんて知る必要はない」
「彼女には必要なのよ?」
「なぜだ?」
「んもぉ! あの顔見てピンと来ないの?」
「全く来ない」
「乙女心よ」
「そんな物は僕の人生に取って無用の長物だ」
「もっとナナトナのことを考えてあげなよ!」
「彼女を強くする計画は毎日考えているぞ?」
「じゃなくてぇ……」
リンザは僕に耳打ちする。
「似合ってる。可愛いって言ってあげるの!」
「……なぜだ?」
「彼女が喜ぶからでしょうがぁ!」
「そんな言葉が嬉しいのか?」
「んもぉ! 本当に何もわかってないのねぇ。いいから言うの! いい?」
やれやれ。
僕はコホンと咳こんでから言う。
「あーー。そのドレス似合っていて可愛いぞ」
すると彼女は大喜び。
「ありがとうございます! 師匠♡」
こんな言葉が嬉しいのか?
うーーむ。
女心とは厄介だなぁ。
そんな時である。
ゴゴゴゴゴゴッ!
と、凄まじい地震が起こった。
この揺れ方……。
自然の地震じゃないぞ?
城の外から大きな黒い出現する。
「なんだ?」
それは30メートルを超える、黒い猿のモンスターだった。
その肩には人が乗っている。
「レガルス……」
なぜ、あんな化け物と一緒なんだ?
「ハハハハーーーー! この城は今から私の物となる!」
大猿は拳を塔に向けて放つ。
バゴンと轟音と共に破壊した。
「ヌハハ。邪魔をする者は即刻殺す!!」
やれやれ。
厄介なことになったな。
城兵たちは恐怖に阿鼻叫喚。
レガルスの姿に大混乱である。
「どうしてレガルス様が化け物と?」
「レガルス様、これはどういうことですか?」
「お助けください、レガルス様ぁああ!!」
レガルスは笑った。
「今日から、この国は私の物となる!! 逆らう者は命はない!!」
この言葉に、みんなは絶望する。
「ああ、レガルス様は邪神に操られているんだぁあああ!!」
「レガルス様を助けなくては!」
「邪神めぇえええ!!」
あの黒い大猿は見たことのないモンスターだな。
「ガオ。いるか?」
『はい。
と、変化狼のハウル顔は床からニョキっと顔を出した。
「あのモンスターの名前、わかるか?」
『あれは邪神、ホシガルでございます。人々の欲求を膨らまし、その心を食べて育つ邪神です』
なるほど。
「つまり、一連の事件はあの邪神が原因だったのか?」
『おそらく……。我を襲った黒い靄も、あの邪神が元凶だったかと』
繋がったな。
「しかし、そうなるとレガルスは、邪神に操られているのか?」
『あの男の様子から、それはないと思われます』
「うむ」
興奮はしているが、レガルスの状態はいたって普通の状態だ。
目の色、汗の出方からそれは判別可能。ハウルガオや、呪われている国王と戦った感じからそれはわかる。
つまりそうなると、国王を呪いにかけてこの国を滅ぼそうとしたのは、全て……。
「おいレガルス! 全部、あんたの仕業だったんだな?」
みんなは僕の言葉に目を見張る。
「ええ!? あの人は邪神に操られてるんでしょ?」
「師匠、どうしてそんなことが!?」
「ゴオさん、どういうことですか!?」
その答えは僕が答えなくても良さそうだ。
「ふはは! ゴオ! なかなかやるじゃないか! 貴様の言う通り、全ては私の計画だ! 国王に呪いをかけ、この国を滅ぼそうとしたのだぁああ!!」
やれやれ。
邪神より邪悪な人間か。
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