ルビー
「メアちゃんって、綺麗な瞳してるよねー」
入学から一ヶ月が経ち、ヘルンとお昼ご飯を食べる。
「そうかな? 自分では分からないけど」
「あはは、そうだよね。でも本当に綺麗だよ! 赤く澄んでて、宝石のルビーみたい!」
私の容姿は赤紫色の髪に赤色の目、赤色のしっぽと何かと赤が多い。特にしっぽは黒いヴァンパイアが多いなか赤色なので少し目立つ。
「そう? でも宝石って言われるとメア嬉しいよ」
「あー私も目に宝石入れようかなー」
「どういうことなの」
「私は髪が金色だからー、トパーズとかが似合うかな?」
「うん。似合うと思うけど目にはならないね」
「目を宝石に変える魔法とかあればいいのになー」
「メアだってルビーみたいなだけでルビーじゃないからね?」
「それもそうだ!」
お弁当も食べ終わり、軽く雑談をする。
「そろそろ中間テストだよねー」
「そうだねー」
「メアちゃん、勉強してる?」
「うーん、そんなにかな」
「あー! 絶対してるやつだ! 勉強できるやつは勉強してるって言わないんだからー!」
「それ前も言ってたね。じゃあちょっとは勉強してるよ!」
「そ、そう? 私だってちょっとは勉強してるんだからね!」
「ヘルンだって頭悪いわけじゃないでしょ? 授業中だって真面目に取り組んでるように見えるし」
「まあね! 中間テストの結果を見たら私の優秀さにメアちゃんも私を認めるようになるだろうね!」
「ずっと認めてるけど、結果は楽しみにしておくよ!」
「任せて!」
中間テスト結果発表。私は全教科満点だった。というか、問題がさほど難しくない。
「メーアーちゃーん」
「ヘルン!? どうしたの?」
「私、トパーズは諦める。コハクくらいにしておく……」
「何の話!? ああ、いつぞやの瞳の宝石の話?」
「私は……コハクすら危うい……」
「どういうこと? テストとなにか関係あるの?」
ヘルンの見せてきた通知表には赤点こそ無いもののあまり芳しくない点数が並んでいた。
「ああ、点数が良くなかったんだね」
「うう、これじゃメアちゃんの足元にも及ばないよ……」
「まだ期末テストもあるし、そこで巻き返せばいいよ!」
「それもそうだね! 次頑張るよ!」
「立ち直り早いね!」
「それだけはメアちゃんに負けないから!」
確かにこの立ち直りの早さには負けてるかもしれない。
そして、ヘルンが期末テストで挽回できなかったのはまた別のお話。
いつかの入学式の言葉じゃないが、三年間が過ぎるのは本当にあっという間かもしれない。
運動会、合唱祭、定期テストとイベントを越え早いもので中学二年生の二学期。
秋も終わりかけ冬の寒さを感じるような十一月の初め。
今日もいつものように朝から魔物の討伐をする。
最近では父親に魔物をわざと残しておくようにお願いしている。そうでもしないと魔素が溢れてしまう。
しかし、それでもここ数日は特に魔物が少ない。魔物を倒しすぎたのかと思ったが、数ヶ月前と同じペースである。といっても、数ヶ月前よりも私の魔素の生成量はどんどんと増えているわけだが。
「あ、いたいた」
それほど害にならなさそうな小さなスライムでも魔物を倒すため身体中の魔素を大量に込めて発射する。
思ったより地面が削られたが、我々の生活を脅かす恐ろしい魔物から暮らしを守ったと考えれば問題ない。
その日の夜も、翌朝も、毎朝毎晩魔物の討伐を続けていった。
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