短歌作品

意味と無意味


幕上がる熱き舞台に主役なく ただ客席を包む感動


枯れ葉をも冒して殺す毒あらば それを仰いで生きた証を


力尽き倒れ眠ったその夜の空を埋める遠い太陽


形なく意味と無意味をつなぐ橋 時計の針に意味はなくても


辛酸も甘い時間もこれだけで ただこれだけで済ませてなるか


渡された命と気づけば英霊の声が聞こえる生きていてくれ


背負えずに背負う重荷に潰されてポインセチアの花は何処かへ


オリオンの三ツ星高く南中し アンドロメダは地平の彼方


二律背反


非現実−現実間の硝煙と発砲炎に続く膠着


一律の二律背反 心臓が律動するたび心を絞める


ここにあるここにしかない感動をうまく収めた名文を読む


命たる翼を失い飛べずともその形骸は飛行機なのだ


誇りをも醜くも捨てて生き残り 残り僅かに賭ける生命


山焦がし朝日が散々沈んでも 夕日はすぐに東に昇る


火焔踊り死の案内は忙しくて時折響く生の証明


善悪の彼方に光る正しさは地平に沈んで空には見えず

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