書評『君のクイズ』

 

 『君のクイズ』を読みました。本屋大賞ノミネートということ+『アメトーーク!』の読書大好き芸人で紹介されていて、ずっと気になっていて、ようやく読むことが出来ました。

 結論から申し上げますと、とても面白かったです! 噂に違わぬクオリティーといったところでしょうか。セルフ焦らしをした分(自分の中で)期待値が大きくなっていたので多少不安はあったのですが、見事それを上回ってくれました。


 ネタバレになるのであまり内容のことは言えませんが、初っ端から「え?」と思うようなことが起こり、心を掴まれます。そしてその「え?」を引きずったまま、話はどんどん進んでいきます。その謎が解き明かされるときにはもう……。という感じです笑

 如何に最初のインパクトが大事か、強力か思い知らされました。

 その後の魅力も当然色々ありますけど、一番は「分かりやすい」ということですね。主人公が何を目的にしているのか。作品のコンセプトの部分ですね。それが一切ブレず、無駄がない印象でした(主人公視点なので、職業病的な部分もあるかも)。もしそれも狙って表現しているのだとしたらすごいですね。主人公の思考の性質を文章のテンポとして表現するのは参考にしたいです。

 あと思ったのが、「ライトな探偵もの」というイメージですね。自分はあまり探偵ものが得意ではなくて『名探偵コナン』すらあまり見ないのですが、この作品で初めて『探偵もの』、『謎解きもの』の面白さが理解できた気がします。そこまで難しくはなく、一個一個順を追って謎を解いていく感覚は中学生の時に勉強した数学の証明を思い出しました。点と点が繋がっていく感覚。そして同時にクイズプレイヤーに対して無意識に抱いていた偏見が取り払われていくようでした。当然、化け物も存在するわけですが……。

 文章も先述の通りテンポが良く、あっという間に読めた理由の一つになっていたと思います。基本的にはずっとシンプルな文章なのですが、自分は比喩表現が気に入りました。まさにこの主人公の考える比喩だな、という職業病的なものが多く、これは「狙っているな」と作者の意図が理解できました笑(こういう時、何だか自分がプロに近づけたみたいで嬉しいです笑)

 そして最後には小説らしいテーマ? 命題? もあり、隙がない作品だな、と感想を抱きました。長々と語りましたが、読んでもらうのが一番だと思います笑

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