並ぶアリ

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 小さいアリは並ぶ。


 今日はおいしいドーナツが、安い日。


 人気の露店で、みんなお買い物。


 お店の前、縦一列にお行儀よく。


 列は短いけれど、体が小さいアリだから。


 たった数センチ・数メートルでも、たくさん並ばなければならない。


 それに時間もかかる。一匹移動しても、ちょっとしか前に進まないから。


「まだかな、まだかな」


「あとどれくらいかな、どれくらいかな」


 じりじり、ちょっとずつ。


 一匹お買い物、また一匹お買い物。一匹ぶんずつ進んでいく。


 前に並んでいるアリたちは、ゆっくり時間をかけて少なくなっていく。


 そうしてやっと買いものができるようになるころには、朝から夕方に変わってる。


 それでもアリはお買い物。


 きっと明日も人気のドーナツ屋に、並んでる。


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並ぶアリ 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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