花を作る

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 友達が入院しちゃった。


 ちょっと大きなけがみたい。


 痛い思いをしてないといいな。


 何かしてあげたい。


 そう思った私は、花をおくりたかった。


 けれど、お小遣いがないから、我慢しなくちゃ。


 このあいだ使っちゃったから。


 どうしよう。


 お金を借りる?


 お母さんなら「しかたないわね」ってくれそう。


 でもお母さん、「お金がないときはできるだけお金を使わずに解決できるようにがんばるのよ」、「それが将来のためだもの」っていってた。


 だったらそうだ、自分で作ればいいんだ。


 折り紙を色とりどり。


 テーブルにならべて、たくさん。


 私はお花を作り始めた。


 丁寧になるように、ひとつずつゆっくり、しっかり折っていく。


 一時間くらいかけて、花束を作った私は、友達が入院している病院へ向かった。


 でも、病室にはみずみずしくて綺麗な、本物の花がたくさん。


 それにいいにおいもした。


 わたしの紙の花束じゃ、みおとりしちゃうかも。


 だから「ちょっと顔をみにきただけ」って言って、帰ろうと思った。


 お金をかけないことは失礼なことかな。


 なんとなくそんな気持ちになったから。


 でも友達は「お花持ってきてくれたの?」「ありがとう」と喜んでくれたから、とても嬉しかった。


 がんばって作ってよかったな。


「はやくよくなってね。そしたらまた遊ぼうね」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

花を作る 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ