奇現象とは何か?
※死に設定になるかもしれない要素を含んでいます
2149/10/11 19:05
インタビュアー タキガワ博士 以下タ
インタビュイー 「ネクロマンサー」ウゲツ 以下ウ
タ「我々が観測している、奇現象とは何なのでしょうか?」
ウ「『奇現象とは何か?』ですか……?」
ウ「……そうですね、解りやすく例えるならば、アノマリーは現実に空いた穴のようなものです。」
ウ「何もない所に、胡乱なもの達が入り込んでくる。空き家に動物の類が入り込むようにね。しかし、その者たちとかかずらえば、大抵の場合、現世に戻ってくることはできません。」
ウ「表象の現出、意味の崩壊、それらが現実に亀裂を入れる。自我が実体というのであれば、現象が実体を得るというのも、回帰性真理といえるのではないですか?」
タ「それらは何時生まれたのでしょうか?」
ウ「最初の発生がいつだったのかは解りません。」
ウ「気が付いたときにはもうそこにあったのです」
ウ「発生量の変化については少しは解っています。と言っても経験則ですが。」
ウ「奇現象は、普段は大人しいですが、人が近くにいると活動を始めます。
古い罠が消えて、新しい罠が生まれて、道だったところが通れなくなる」
ウ「何でもない壁のシミ、廃棄物が形作るいびつな影、そんなものから
混乱の渦が生まれ、もっと悪いことが起きます」
ウ「彼らはひどく気まぐれのようですが、実は私たちの精神状態の反映です。私はこの世界で苦しむ人たちを何度も見ました」
ウ「目的を成し遂げようとしたまさにその時に死ぬ人々も。しかし、すべては自分次第なのです。」
タ「要点が解りません。奇現象は人を選別するのですか?」
ウ「私には、絶望した人間を通すように思えます。善悪に関係なく、ただ、不幸なものを。でも、自ら死を望むものに慈悲は無い。貴方がたは警告を受けたのですよ」
タ「貴方の言い方だと、まるで奇現象に意思があるような言い方です。それに目的があるのですか? 何のために選んでいるのです?」
ウ「彼らは私たちに贈り物をする一方、酷く残酷に殺しもする。 一体それにどのような差があったのか……」
ウ「彼らが人でないならば私たちがそれをどう判断しようとも意味はないでしょう。私たちが、実はそれ自体には全く意味のない、石ころの転がりに法則を見出して、それに囚われることがあれば、より危険な事になると思いませんか?」
タキガワ博士の深いため息
タ「インタビューを終了いたします」
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