レリックとは何か?

 レリックとは何か?

 はぁ、あれは端的にいえばミーム汚染された高次符号素材だな。


 何?わからん?

 もう少しかみ砕いて話すか…


 まず、高次符号素材だが、つまりだ…お前らの使っている装甲版、あれだ

 あれは炭素分子、平たく言うと炭だ。

 

 その目には見えないほどの細かい粒を、特定のパターン「符号」に整列させることで、金属のような硬さでプラスチックのような柔軟性を持つ…いや、「さもそういう振る舞いをさせている。」という方が正しいな。


 ダイアモンドと炭、といえば、君にもわかるだろう?

 レリックはそれにミーム汚染が絡む。


 ミーム汚染についてだが…誰でも理解できるものではないので、わからなかったとして気に病むことはない。その特性上、客観的な理解が難しいからな。


 ミーム汚染とは、とある単語が本来とは違う意味や反応に変化しているという事だ。


 普遍的なものだと常識だな。信号機の色を青、というね、本当は緑なのにもかかわらずだ。これは「常識」というミーム汚染だ。


 宗教や文化、常識、人の行動や思考を支配する情報は刻一刻と変化する。そういった生物的な変化をする情報の揺らめきを引っ掻き回すやつをミーム汚染というのだ。


 例えば面白いもので、レリックの中にはやたら固いコッペパンというやつがある。


 分析された素材は、ただの小麦粉と砂糖、塩、酵母だが、30メートルの距離からの20㎜機銃の直撃に耐え、4トンの加圧でもひしゃげなかった。

 ヤケクソでバーナーで炙ったらいい匂いがしたと答えたよ。

『その部屋で、NBC防護服を着ていた全員』が、だ。


 レリックがミーム汚染された高次複合素材、という意味が解ったかね?


 あれは、現実改変を伴い、熱力学に代表される物理法則を超越して、自身と世界の狂った関係性を頑なに保持しようとする。

 我々はそのズレから起きている作用を利用しているというわけだ。


 厄介なことに、現実改変を伴うレリックは、そういった関係性すら、ちぐはぐになっている場合があるがね。

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