第9話 常識と非常識の間
母に頼まれて動かなくなった電気乾燥機の様子を見る。
部屋の中から伸びているケーブルタップを辿ると、乾燥機のコンセントケーブルが差してある部分で、タップのプラスチックが茶色く溶けている。なるほどこりゃ動かんわい。
乾燥機や電子レンジ、ドライヤーなど熱を扱う家電は大量の電気を流す。だからどれも説明書には10A対応のケーブルタップを使うように書かれている。
消費者が説明書なんか読むものか。(私は読むが)
電源ケーブルの容量など誰が気にするものか。
小型機器用の電源ケーブルは10A通せるようにはなっていない。だから大電流が流れるとこのように溶断する。融けるのはまだ良いが、火を噴いても不思議はない。火事へと繋がるとても危険な行為なのである。
今までの家電はこの細い電源ケーブルでうまく動いたよ、というのは経験であり、何十年もそれでうまく行けばその人の頭の中で固定した常識となる。
それが大型家電には通用しないというのは技術者には常識ではあるが、電気知識の無い一般人にはそれは分からず、結果として自分が非常識な振る舞いをしていることには気づかない。
もっともメーカもしくは政府の側も、使用する電源ケーブルを大型用と小型用に分けてケーブルの色を標準化して変えるなどの工夫をすべきであるのは間違いない。
例えば濃い赤のケーブルは10A以上、大型家電は赤のケーブルのみというようにだ。
実際にはタコ足配線によりこの決まりは破られることになるが、そういった努力はするべきなのである。
我々の周囲にはこのように個人的な経験が作り上げた『常識』の範疇に入らないものがたくさんある。
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