第8話 幽霊

 近年監視カメラが街のあちらこちらに配備されるようになったせいか、幽霊の動画が増えてきている。透明な人型の存在がカメラに写るわけである。


 幽霊の目撃?

 その動画の一つにビルに入って来た幽霊の背後から車のヘッドライトの光が当たり、幽霊のシルエット全体が一瞬輝度が上がる瞬間がある。まるで幽霊がガラス細工でできているかのように。

 そこでふと思った。光学迷彩が密かに実用化されたのではないかと。

 光学迷彩とは開発中の軍事技術の一つで、背景画像を前面スクリーンに投射することで一見そこに何もないように見せるというものである。

 それで全身を覆うスーツができれば、透明幽霊の出来上がりである。ただし現在の技術では完全な透明は無理で、半透明のものしかできない。だからその実験は主に夜ということになる。

 交通監視カメラの映像で何もないところにいきなり人間が現れるというのもある。これも光学迷彩の実験中に事故が起きた例かも知れない。


 あまりにも進歩した科学は魔法と区別がつかないというセリフがあるが、これもそうなのかもしれない。

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