第4話 大学の戦略
マサチューセッツ工科大学(MIT)は全米中から天才ばかりを集めた学校である。天才を教育できるのは天才だけであるとの理念に基づき、世界中から超天才を引き抜いて教授に据えている。ここの教授連はいづれもノーベル賞寸前と言われる人物ばかりである。
それでも二年間研究して成果が出なかった場合は教授を首にするという厳しい方針を取っている。この条件でも教授に成りたがる人間が多いのは、企業との協力による莫大な研究費が与えられるからである。
バークレー大学は自分のところの大学生はここの大学院には進学させないという方針を取っている。つまりエスカレータ方式の拒否である。この大学は他の大学の大学生の中から優れた人物をスカウトしてきて自分のところの大学院に入れることにしている。
その目的が売名なのか、より高見を目指しているだけなのかは不明である。
ハーバード大学は授業そのものよりも、大学在任中でのコネ作りを推奨している。将来の経済界への参入にあたり、ここでコネを作っておくことは何よりも役に立つ。
そもそもが経済学は科学を名乗るべきでないとまで言われるほど結果が出ない学問であり、真面目に教えても意味がないという背景もある。その証拠にノーベル経済学賞を取ったお偉い学者たちが立ち上げたファンドは悉く失敗し、学者たちが首を吊る結果に終わっている。
中国はマサチューセッツ工科大学を見習い、各地の秀才を集めて天才を養成する学校を立ち上げた。その教師には秀才と言われる人物を当てた。マサチューセッツ工科大学のように教師には天才を当てたかったのだろうが、共産主義下では天才は迫害されこそすれ、見いだされることはない。
その結果、この学校からノーベル賞を取るような人物はまだ現れていない。
東京大学は在任している教授がノーベル賞を一つも取れないのが悩みであった。この大学で一番大事なのは日本で最高峰であるという謎の自負である。日本で行われる大研究プロジェクトの大半は東大の管理という名目がつかないと政府から予算が下りない仕組みとなっている。
そこでこの大学が考えたのはもっとも姑息な手段であった。
ノーベル賞を取った学者を改めて名誉教授に任命するという手段である。
やれ、大笑い。
だが東京大学を馬鹿にしていはいけない。この大学には世界の大学には存在しないものが一つだけ存在するのである。
それこそが『セクハラ防止シール』である。
教授に何人女を世話したかで副教授になれるのかが決まると言われるだけあって、東大ではありとあらゆるセクハラが行われていた。女生徒だけではなく女性教員そして女性職員までもがそのターゲットにされていた。(今はどうかは知らない。改善されたと信じたい)
現に、知り合いの東大講師がその人側を踏まえて女性職員たちに頼まれたことがある。教授のセクハラに注意して欲しいと。この教授、女性と見るとやたらお尻を触ってくるらしい。
この人の好い講師は教授への抗議の矢面に立ち、光の速度で首にされた。もっとも彼はものすごく真面目に研究する人だったのですぐに地方大学の教授として雇われなおしたが。
このような事件が続いた挙句がセクハラ防止シールである。
このように各大学はそれぞれの戦略で世界と戦っている。
アジア圏の大学がバカにされる理由が少しはお分かりいただけたであろうか?
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