第3話 温暖化

 ネットでは地球温暖化の議論がよく見られるが、その経緯を示しておこうと思う。


 気候学者たちが地球温暖化について警告したとき、一番困ったのは誰あろう産油国を始めとするエネルギー産業である。

 省エネブームは彼らの収入を直撃するのだ。そこで彼らは大金を投じて御用学者を雇うことにした。

 悲しいかな世の中の科学者の多くは金のためなら悪魔にでも魂つまりは科学する心を売り飛ばす輩なのである。沢山の研究費があれば豪邸に住んで大勢の愛人を囲うことができる。ただそれだけが彼らの望みなのである。

 こうして研究費で雇われた御用学者たちはあらゆるトンデモ理論を武器に地球温暖化説を攻撃し始めた。


 いわく平均気温の上昇は太陽活動が活発化したためである。

 いわく平均気温の上昇は氷河期の終わりによるものだ。

 いわく平均気温の上昇は一時的な気候変動に過ぎない。

 いわく平均気温の上昇は計測ミスである。


 これに激怒したのはすでに科学に魂を売り渡していた真面目な科学者たちである。彼らは全世界の気候研究者で組織を組み上げ、今まで行われたことのないほどの規模で徹底した全世界的なデータ採取と検討、そして演算を行った。まさにそれは科学の偉業と呼んでよいレベルのものであった。

 すべての作業を終えるのに十年間を費やした。

 こうして証明されたのが地球温暖化である。それは今も確実に進行している。


 だが各国とも自分たちの利益だけを主眼におき、もっとも二酸化炭素排出量の多い二国は何も手を打たなかった。

 一つはアメリカで、彼らは贅沢な生活を欠片とも減らす気は無かったのだ。お湯は大型のボイラーで常に大量に湧かし、驚くほどの大きな車で空ぶかしをするのが彼らの望む理想の生活スタイルであった。

 もう一つは中国で、アメリカほど経済規模は持たないものの使用している化石燃料の質が悪いために大量の二酸化炭素を吐き出している。しかも彼らは発展途上国という都合の良い言い訳を繰り返し、経済を少しでも減速させるようなことをしなかった。


 なんと欲深な人間たち。これほどの自己中心的な人間たちの集団が存在することにむしろ感動すら覚える。


 最近では気候学者たちは地球温暖化をうるさく言わなくなった。

 地球温暖化が解決したのではなく、それはすでに帰還不能点を越えてしまい、人類の破滅が確定してしまったからである。

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