第42話 終戦

「それで俺の相手はお前か」


「そうみたいね」


ゆっくりと大剣を構える。


「やけに好戦的だな」


低い声が響く。


「私、戦うの好きだもん。」


「俺はあんまり戦いたくないんだけどな。」


そう言って太刀を抜く。


その瞬間戦いの火蓋は切られた。




レイと護衛1は激しく打ち合う。


両者一歩も譲らない。


モブキャラにしておくのがもったいないくらい強い。


「なあ、お前。なんでそんなに霊子が溢れてんだ?」


「勝手に出てきてるのよ。うるさいなぁ」


なんで戦ってる最中にそんなことを聞く余裕があるんだ。私は余裕がないのを隠すために平然を装って答えた。


「もったいないな。もっと強くなれるのに。」


「あなたに私の何が分かるっていうのよ!私は精霊なんだよ?」


「ああ、分かるさ。俺も昔その状態だったからな」


どういうこと?精霊は人間と違って体の殆どが霊子から出来ている。だから精霊から霊子が溢れ出るのは霊子が多いから別に普通のこと。


だけど、私が今戦っているのは、精霊の守護者。分け与えられた霊子でそんな状態になることがあるの?


そんなことがもし起きうるとしたら、それは契約した精霊の霊子が相当多いということになる。


そんな精霊、少なくても私は知らない。


「だからお前さんの剣はまだまだ軽い。だけど素質はいい、今後に期待だな。」


「なにを、、!」


こんなに戦闘で馬鹿にされるの初めてなんですけど!!!!


「俺にはやることがあるからな。構ってあげられないのが残念だ。」


私は力任せに、奴を斬るために剣を振るう。今まではそれだけで勝てていたのに。


全て綺麗に捌かれる。


そして、奴の太刀が私の体にめり込む。


「うぐ、、、」


「これで終わりだ」


そして、私は意識を失った。


「さて、思ったより時間がかかったが、俺の仕事をしに行くか」




俺はハルロの攻撃に終始押されていた。


「君は強い。だけど僕には遠く及ばない。僕の仲間になっておけば死なずに済んだのに。」


「く、、!」


確かに攻撃する隙がない。なんとか捌くのでいっぱいいっぱいだ。


俺の体は至る所から血が噴き出して、立っているのもやっとの状態だ。


気合いと根性だけではどうにもならない実力差だ。


ハルロの剣が俺の心臓に向かってくる。




防がないと死ぬ、、、!だけどもう腕も上がらない。


ここまでか、、、目を閉じ最後の瞬間を待つ。




そう思った。


突然、ハルロは口から血を吐き出した。


「あ?」


目を開けると、俺じゃなく、ハルロの心臓を長剣が貫いていた。


「ふう、間に合って良かったぜ」


「なぜ、、、お前が、、、、」


俺の視界にはローブを被った護衛1の姿が見えた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る