第41話 開戦3
「私の相手はあなたですか」
ミズキは護衛3と退治していた。
見た目は護衛の中でも一番大きい。
「俺もお前のようなちびっ子じゃなくて、あっちの精霊が良かったな。もっと強そうな奴がよかった。」
護衛さんはローブに隠れたまま、悲しみの声をあげている。
「それは私と戦ってから言ってもらえますか?」
「おっと!いきなり魔法を撃ってくるなんて、卑怯なことするなよな!」
むかついたので一発ライトニングを放ったが上手く体を捻って躱されてしまった。
「まあでもちびっ子の言うことにも一理ある。瞬殺してからもっかい言ってやるよ」
そう言うと、護衛3は殴りかかってくる。
私は距離を取りながら、魔法を撃ち続ける。
が、相手が素早すぎて当たらない。
あんなに大きい体のくせに、、、
「きゃっ、、!」
距離を詰めた護衛3のパンチがミズキを捉える。
そのままかなり飛ばされて家の壁に激突して止まった。
「くぁ、、」
息が吸えない、、!苦しい!重い!
「あー、悪いな。つい軽すぎていないのかと思ったわ。」
「けほっ、、けほっ、、」
「まあ、これで実力差がわかっただろ。諦めろよ。」
ここで諦めるなら俺は本気で見逃してやるつもりだった。女の子を殺すのは気が引けるからな。
「諦めません、、。私はアルヤさんを守るために全力を尽くすんです。諦めるなんて選択肢は最初から存在しません。」
思っていたより心が強い相手だった。
「ほう、、。その心意気だけは買ってやる。名前はなんて言うんだ。」
「ミズキ」
「ミズキか。覚えておこう俺にそこまで戦う意志を貫いた女は初めてだ。認めてやる。俺の名前はセディバル。冥土の土産に教えといてやるよ。だがな絶対に届かない力の差ってもんがこの世にはあるんだよ!」
セディバルの武器は己の肉体だ。剣や魔法は使わない。絶対に接近攻撃になる。
総合力では間違いなく私は敵わない。
だけど私はアルヤさんとなんとしても一緒にいたい。
そのためにはこの敵を排除しないといけない。
「これで終わりだ!」
セディバルが鋼の拳でパンチを繰り出す。
そのパンチが私に到達する寸前、目から光を失った私の手がセディバルの胸に届いた。
「ガイスト」
口から血を吐きながら、この魔術を口にする。
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ガイスト、、
本当はこの魔術をもう二度と使いたくはなかった。
なぜなら、私がこの手で両親を殺した魔術なのだから。
学校でも、家でも虐げられていた私はその時きっと気が狂っていたのだろう。
ある日、生活が変わりいつものように両親からの虐待を受けているとき、急にぷつりと理性の糸が切れた。
そしてこの魔術を両親につかった。
両親は心臓麻痺で死んだ。
本当はこの時に捕まるはずだったのだ。
ただ、虐待の証拠が私の体の至る所に残っていて、両親の死因も当時14歳だった私に出来るとは思えないことだったため、それを鑑みた結果私はお咎めなしになった。
でも心の傷は癒えないままだ。この魔術はそのときの事を鮮明に思い出す。だからできれば使いたくない。
だけど、せっかく見つけた居場所がなくなってしまうくらいなら、私は何度でもこの魔術を使うだろう。
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私はセディバルの心臓を鷲掴みにし、電撃を直接流し込む。
「ぐあ、、、」
セディバルは後ろによろけたが立っている。
「これを受けてまだ立っていられるなんて、、」
「いや、俺の心臓は限界だ。すぐに死ぬだろうことは俺には分かる。完敗だ。だけどな、最後に伝えたいことがある、、、、」
「なんですか」
「俺を止めてくれてありがとな、、。お前は俺のように道は踏み外す、、な、、よ」
セディバルは言い終えたと同時に前のめりに倒れた。
それを私は抱き留めて静かに寝かせた。
自然と目からは涙がこぼれている。
私が殺したのに、、、。
胸に残ったのは達成感ではなく、悲壮感と己に感じる危機感だった。
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