第13話 飲み明かし

「さあお酒を買いにいくんだー!」


「どうした元気いいな」


「だってお酒飲めるんだもん!そりゃあ元気出るよ!」


もしかして酒豪なのか?精霊のくせして?


「そんなにお金はないしあんまり買えないからな?」


「わかってるよ~!」


いつもと同じ口調だが、やっぱりテンションが上がっているんだろう。レイはニコニコしながら俺の手を引いている。


こうやって素直なレイは嫌いじゃない。


この笑顔が見れるなら頑張って良かったなと思う。




こうして俺たちは街にある酒屋さんにやってきた。


「えーと、レモン系のお酒でしょ、あとはモモ系とシュワシュワしてるお酒も買わないと!アルヤは何飲むの~?」


この世界では15歳からお酒を飲むことが出来る。だから俺もお酒を飲むことはできるのだが、、、


「初めてだから何が良いのかさっぱりわかんないな、、、レイが良さそうなの選んでよ」


俺はまだお酒を飲んだことはないので、レイに一任することにした。


「わかったー!」


じゃあ、これと、これもいいかな!なんて言いながら楽しくお酒を選んでいた。


しばらくお店を回っていたが、レイがある程度選びきったのか、ちょっときてと俺をワインコーナーの方へ連れて行った。


「これも買いたいんだけど」


レイが俺に見せたのは高そうな赤ワインだった。


「いやこれはだめだろ、、、高いし、、」


値段を見ると金貨1枚と書いてある。他のワインに比べると安い方だが、、、


「今日のクエストの分じゃまかないきれないだろ」


「私知ってるよ?アルヤが金貨を少し隠し持ってるの。」


げ、、なんでしってんだ。これはなにかあった時用に残していたのに。


「私は精霊だよ?契約した人のことならなんでもしってるもん~」


「そうですか、、、」


ね~お願いだよ~と俺の頬を指でツンツンと突いてくる。


「ああー!わかったよ!」


「ありがとー!」


都合良い奴め。




その後は適当なつまみを買って宿に戻った。


「くそ、、こんなに使う予定じゃなかったのに」


完全に予算オーバーだ。明日からしっかりと稼がないといけない。


「もう~今日くらいいいじゃんか~」


「これが癖になったら大変なことになるだろうが、、、」


「大丈夫!私にだって自制心はあります!」


散々人のことを振り回しといて、何を言ってんだこいつは。


レイはさっき買ったお酒の缶をひとつ開けて俺に手渡した。


「とりあえず飲もうよ。二人の門出にさ。」


そういうとレイも缶を一つ開けて、俺が持っている缶にコツンと軽く当てた。

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