第5話 猫の正体

「こんなにすぐ村に帰ってくるとは思わなかった」




冒険者になるのにもっと時間がかかると思ったが、案外すぐだった。




「お前ももう大丈夫か?」




洞窟で見つけた怪我をした猫になでながら聞いてみる。




んーーもふもふ。




「にゃー」




分かってないだろうなとは思いつつ、猫の返事に癒やされる。




「先に洞窟に行くか。何も起こらないかもしれないけど約束だしな」




猫を抱きかかえながら、村の結界の外にある洞窟に向かう。






しばらく進むとあの白く光る石が見えてきた。




「よし、着いたな」




俺は石に向かって叫んでみた。




「約束を果たしにきたぞ!」




何も起こらないなぁ、、、




「やっぱりもう忘れられてるか、、」




ならしょうがない。村に戻るか。




そうして白く光る石を後にして村に向かおうとすると、辺りが深い霧に包まれた。






「約束、守ってくれたんですね。」




霧の中からあのときの少女が現れた。




「久しぶりですね」




「5年ぶりだな」




「来てくれてありがとう。さっそく5年前の話の続きをしましょうか」




少女は5年前の話の続きを始めた。




「以前、この世界が消えてなくなるのを防ぐためには精霊の守護者になるしかないと言ったのは覚えている?」




「うん、覚えてるよ」




「精霊の守護者にならないと、この世界をなくそうとしている悪魔族に勝つことが出来ないの。」




「その精霊の守護者っていうのは一体何なんだ?」




話が飛びすぎていて、俺の理解は全然追いついていない。




「ああ、精霊の守護者の説明を忘れていたわ。」




全くしっかりしてほしい、、、




「精霊の守護者っていうのは、精霊と契約して精霊の力を借りれるようになった人の事よ。精霊の力がないと悪魔族にはダメージすら入らないの」




なるほど、、だから精霊の守護者になる必要があるのか、、、




「それでどうしたら精霊と契約できるんだ?」




「それはそれぞれ精霊によって違うわ。戦って力を認められる場合もあるし、目的意識とかが合うからって場合もある。」




「そうなんだ、、、そういえば君は精霊なの?」




「私も精霊よ。」




「ならこの世界を滅亡をとめるっていう目的が一緒なんだし、俺と契約しようよ」




「ごめんね。それはできないの、、」




「なんでだよ。目的は一緒じゃないか。」




「私は既に契約している人がいるの、、」




どうやら契約は一人としか出来ないらしい。




「だから私は出来ないけど、、、あら?」




少女は俺が抱いている猫をじっと見ている。




「やっぱりあなたには精霊が集まるのね」

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