第45話 帰る場所
「燃えろ
炎を纏った槍が、
ドオオオオオンッッ!!!
最期、咆哮の響きを残して、
……ディーさん、すごすぎる。
ていうか、
心機一転、再出発した僕らは、特に邪魔も入らず、その日の夕方には島に到着した。待ちきれないとばかりに一人飛び出したディーさんを3人で追いかけていると、すでに
ディーさんは生前、この
「あっけなく終わったな」
「そうですね……」
『
「僕、煙弾打ってきます」
船を泊めた場所の近くにそれっぽいものがあったはずだ。
「一緒に行く」
セイが僕に続く。
この島は全体が
「じゃあ、私は島内を一通り見てくる。何か珍しいものがあるかもしれない」
エルさんは髪を後ろに1つにまとめる。鳥になって上空から島内の様子を確認するようだ。
「わかりました。じゃあ集合はここにしましょう。ディーさんはどうしますか?」
「俺はここにいる」
「了解です」
それから、僕たちが煙弾を打って解体業者が到着するまでの間で、エルさんは果物やキノコを収穫しまくっていた。それを見て僕は、ネオへのお土産だろうな、と一人にやにやしてしまうのだった。
そのキノコが、以外にも高値で売れることになるのだが、それはまた別の話。
◇
そんなこんなで、『
「「リーダー!!」」
門を開けると、前方の玄関が勢いよく開いて、双子のミーシェとオルフが目を輝かせながら、駆け寄ってきた。
僕達が『
「
「褒めて褒めて!!」
「倒したの!? すごい!!」
信じていなかったわけではないけど、まさか本当に倒してしまうなんて……。
無邪気に喜ぶ2人が末恐ろしくなってきた。一体どうやって倒したんだろう。
「どうやって……」
「皆さん、おかえりなさい」
2人の後ろからネオが歩いてきた。
ちょっと会ってなかっただけなのに随分と久しぶりに感じる。
「無事で何よりです。積もる話はあるでしょうが、一旦中に入りましょう。エミーさんがお菓子を用意してくれてます」
「エミーさんのお菓子!」
思わず声が上ずる。エミーさんのお菓子は安心する味がして好きだ。ほんのりとした甘みが、昔、母が作ってくれたものと似ていた。
「リーダー、好きよね」
「たくさんあったよ!」
双子が片方ずつ僕の腕を引くので、そのまま玄関に向かう。
……なんか、帰ってきたって感じがする。
考えてみると、不思議だ。半年前には、一人で死のうとしていたのに。まさか、こんなに仲間ができて、居場所ができて、セイと一緒にいられるなんて。
全部夢だって言われても納得するかもしれない。
毎日忙しいけど、その中の、何気ない日常が好きだ。
たまに寝坊してネオに起こされたり、セイとエルさんの服選びに付き合わされたり、双子が持って来たボードゲームで遊んだり、ディーさんが槍の手入れをしているのを眺めたり、エミーさんからお菓子のレシピを教わったり……。
「リーダー?」
「どうかした?」
足を止めた僕に、双子が揃って声をかける。
「ううん、なんでもないよ」
この気持ちは、しまっておこう。
ずっと、こんな日々が続けばいいのに、なんて。
僕達の目的は、ディノ・スチュワートへの復讐。
セイの未練を晴らす。それが、僕の生きる価値だ。
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