第4話
私は彼女に向かって頷いてみせる。それを見て決意に満ちた顔になった彼女が頷き返し、息を調えて言った。
「王太子殿下の言った落書きは、授業についていけず、いじめで教科書を破られたあと、エリシア様がご自身の教科書に分かりやすい解説を書き込んで私にくれたものです。その後、破られる度エリシア様が新しい教科書に解説を書き込んだものをくれました。エリシア様が私をいじめるはずありません!」
パーティー会場がシーンと静まり返った。
そりゃそうだ。加害者とされた私を、被害者であるレニー嬢が弁護したんだから。
レニー嬢の叫びに、驚愕した顔で、彼女を見る王太子殿下―――――というか、みんなレニー嬢を見つめているわね。
「すみません、エリシア様。私が弱いばっかりにご迷惑をお掛けして……。」
「いいんですよ。今回の件はその王太子が勘違いして暴走した結果です。あなたは悪くありません。」
「……エリシアさまぁあ」
半泣きになりながら私のところに駆け出し、そして抱きつくレニー嬢。よほど怖かったのね…………―――――『四つの花冠』が。
静まり返ったパーティー会場に響く泣き声に、私は彼女の背中をたたいて泣き止むようあやす。
「陛下。」
「お、おう。なんじゃ。」
「なんじゃじゃありません!とっとと進行してください!」
「……あ、ええー、ゴホン。エリシア殿の疑惑は晴れたようじゃ。これにて閉て―――――」
「ちょっと待ってください!!」
いい話として終わらせようとする国王に、待ったをかける。
「ど、どうしたのじゃ……。」
「裁くものがあるじゃないですか……、冤罪事件の方の、ねぇ。」
我ながら低く冷たい声が出たわね。ビックリだわ。
私の声にビクッとっする王太子と国王。ただで済ませると思っているのですか、ねぇ。
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