サクラ大戦とサクラ革命——サービス終了ソシャゲへの叫び。失われた時を求めても、もう遅い

たけや屋

サクラ大戦とサクラ革命への、満たされることがない思い

 サクラ大戦シリーズといえば知っている人も多いんじゃないでしょうか。ゲームはやったことがなくても、テーマ曲である【げき! 帝国ていこく華撃団かげきだん】もしくは【ゲキテイ!】は聞いたことがある人も多いと思います(VTuberの歌ってみたとかで)。


 サクラ大戦は、セガサターン時代に一世を風靡したシミュレーションゲームです。

 テレビアニメのようなアニメシーンや毎回挿入される次回予告など、システム面や作劇方法はその後のゲーム作品に大きな影響を与えました。


 隊長として美少女隊員たちを導き、イベントをこなして親密度を上げていく——という一見ナンパな内容ですが、その実は熱い男の成長物語なのです。


 シリーズを重ねたことにより多数の美少女隊員たちが存在し、それぞれに根強いファンがついています。なのにキャラクター人気1位は、プレイヤーの分身である【大神おおがみ隊長】でした。このことからも、本作がただの美少女ゲーではないことがうかがえるでしょう。


 96年に始まったサクラ大戦シリーズも、2005年のファイブにて一旦終わったかに見えました。

 それが再び動き出したのが2019年。新サクラ大戦にて見事復活を果たします。


 そして、それと並行するように開発され、2020年12月15日にサービス開始したソシャゲが【サクラ革命 〜華咲はなさく乙女たち〜】です。事実上のシリーズ最新作にして、最終作です(今のところは)。


 ◆ ◆ ◆


 このゲーム、約半年でサービス終了しただけあって欠点は多かったのです。当時のネット界隈じゃ悪い意味で注目を浴びてしまったので、思い出せる方もいらっしゃるでしょうか。


 原作者である広井王子氏や、脚本のあかほりさとる氏が参加していなかったり。

 キャラ人気が絶大なゲームなのに、既存シリーズキャラは全く登場しなかったり。そもそも時代設定が太正たいしょう100年なので既存キャラを出したくても出せないんですが。


 そのほかシステム的な不備も多々ありました。

 開発がFG○の会社なので、ゲームシステムもほぼFG○と聞けば「ああ……」と思う方もいますかね。


 しかし自分はこのゲームの全イベントを含め、ストーリーも最後まで遊びました。


 なぜなら、光る部分はあったからです。

 シリーズキャラは出せないという制約がある中でも、特に世界観や設定面は可能性を秘めていました。


 さて、サクラ大戦と言えばシリーズのキーアイテムとなるダジャレ的な武器が有名です。神刀滅却しんとうめっきゃくとか神剣白羽鳥しんけんしらはどりとか。


 で、サクラ革命にもそういうダジャレ武器があったんですよ。


 烈刀王断れっとうおうだんという、設定上かなり重要な装備が。これはストーリーの中で使われたからいいんですが……。

 これと対になる烈刀獣断れっとうじゅうだんというものもあったんですよ。この『第2部もありますよ!』的に意味ありげな装備も、日の目を見ることなくサクラ革命はサービス終了してしまいました。


 他にもエンディングでチラチラ表示された未実装の護符(FG○でいう概念礼装)の絵柄が、未実装のストーリーを予感させていてない思いが……。


 個人的にこういうの凄い気になるんですよね。開発の都合でイベントが実装されなかったRPGのダンジョンとか、サービス終了に伴い明かされることなく消えていった設定とか!


 また、サクラ革命にはシリーズを象徴するメカ【霊子りょうし甲冑かっちゅう】が出ないという悪評も広まってましたが、それは誤解です。

 正確には『ヒロインの“霊子ドレス”の材料になった』や『主に敵キャラとして登場する』など、若干は出番がありました。


 え? それなら出ない方がマシだった? まあそういう意見も当時はありました。


 しかしラストバトルの場では満を持して登場したんですよ。

 颯爽と駆けつけた『帝国華撃団伝説の隊員』が『太正たいしょう10年代』の『光武こうぶ二式にしき』の性能もりもりバージョンに乗って参戦するというアツい展開が。シリーズファンならコレは血がたぎるんじゃないでしょうか。


 このようにサクラ革命、ストーリー面はいろいろ言われてましたがラストにかけての展開は勢いがあったんですよ。シリーズファンにこそぜひプレイしてほしい(不可能)。


 今サクラ革命の世界観に触れるなら、アニメ版が1番でしょうか(ていうかこれしか残ってない)。YouTubeでまだ普通に配信していますのでぜひご覧を。ストーリーの序章部分をかなり丁寧に描いていて、質の高さにビックリすること請け合い。


 え? このレベルなのに半年サ終なの? と。


 ゲームアプリではなく最初っから1クールアニメで勝負をかけていた方がまだ勝算があったのでは……と何度思ったことでしょう。


 そして音楽面も見逃せません。

 なにしろメイン曲だけはシリーズを通した作曲家・田中公平氏が手がけていたんですから。


 中でもOP曲【SAKURA HIKARU Revolution】は名曲です。みんな聞こう! 普通にサブスクとかでも聞けますんでぜひ!


 で、問題はそれ以外の曲なんですが。

 現在サクラ革命の曲で販売・配信されているのは、メインテーマ2曲しかありません。サクラ大戦シリーズの例にならい、それ以外にもたくさんの劇中歌があったにもかかわらず。


 特に、田中公平氏が最終章に向けて書き下ろしたのがまた良曲揃い。【帝国華撃団、熱乱!】はシリーズファンにぜひとも聞いてもらいたい。

 ですがこの曲、現在聞く手段が存在しないんですよ。なぜならソフト化も配信もされていないから。聞けたのは半年でサ終したゲームを最後まで進めた人だけ。


 配信されたら絶対買おうと思っていたのに……もう2度と手に入らないとは……嗚呼ああ


 ◆ ◆ ◆


 皆さんの心の中にもあるんじゃないですかね。個人的には好きだったのに世間的には人気が振るわず、サービス終了してしまったソシャゲというものが。


 そしてふとしたときに、もう2度とプレイできないそのゲームのことが頭をよぎることってないですかね。しかしそれは手の届かない場所に行ってしまった……と我に返ることが。


 いくら失われた時を求めようとも、時間は絶対に巻き戻ったりしません。サ終したゲームが再稼働するなんて奇跡でも起こらなきゃあり得ないのです。


 え? F○14とかプリン○スコネクトは復活した? あれらは例外中の例外、ゲーム業界の奇跡ですよ……。


 だいたいのマイナーソシャゲファンは、悶々とした気持ちを抱えたまま生きていくことになるのです。決して満たされぬ思いを胸に。


『こんなに苦しいのなら……悲しいのなら……愛などいらぬ!!』

 ドドオオッ!


 みたいな精神状態になってしまう人もいるんじゃないでしょうか。

 本エッセイは、そんな人間の心の叫びでした。


 サクラ革命の曲、配信してくれーッ!


 ★ ★ ★ ★ ★


 これを読んでくれた人の中に、サ終ソシャゲを供養する気持ちがあるのなら……感想や☆評価をぜひ!

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