フェイズシフト/パラダイムシフト

魔導暦元年12月32日に発生した超常現象であり、これによって世界に魔力という新たなエネルギーがもたらされた。魔導暦10年現在では魔力は科学的に解明され複数の国家が存続しているものの、当時の世界は混乱状態にあった。魔力の影響により空間が歪んだことでそれぞれの国は孤立、突発的かつ事実上の断交状態に陥る。空間の歪みによって孤立することは後に座礁と呼ばれ、魔法技術の発達に伴って極小数の国が再び連絡を取り合うようになった。通常の船や飛行機を用いて国家間を渡るのは現実的でなくなったため、特別な魔導座標を用いることで国家間を行き来する手段を魔法省プロヴィデンスが確立。しかし魔法戦争ではこの手段が悪用されたため、ラストリゾート、アルカディア、クレイドルの協議の元、国家間の渡航は魔導暦5年に原則禁止された。本来定めるべき国境を設けられないゆえの、苦肉の策である。その後、魔導暦8年にラストリゾートとアルカディア間で締結されたライミング条約により、両国の行政機関(楽園政府ネクサスとコンツェルト評議会)の認可とそれを証明するパスポートがあればポータルを利用して行き来することが可能になった。とはいえ認可を得ることは難しく、大企業の社長や貴族、留学生でさえ審査を通過できない。

なお、偶然別の国家から別の国家へ漂着するケースも少なくなく、難民問題は今も燻り続けている。

フェイズシフトは自然現象ではなく、ユリウス・フリゲートという魔女によって引き起こされた見方が強い。そのため、ユリウス・フリゲートは魔法の母や始祖と崇拝されている。一方でフェイズシフトの余波は世界大陸の三分の二を消息不明にさせたことから未曾有の大災害とする見方もあり、ユリウス・フリゲートを糾弾する者も少なくない。さらにレミューリア神話においても『フリゲート』の名はレミューリアを滅ぼした元凶、逆賊として描かれており、現実でもその流れを汲むかのようにフリゲートの名を嫌う者は特段アルカディアでは多い。だが当のユリウスはフェイズシフトを機に失踪してしまっているため、その罪と罰の追及は彼女の愛娘にまで及んでいる。

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