ifストーリー 『一生一緒』

*9話より分岐します。


「じゃあネネが落とすからヤマは拾ってにゃー!」


「あいよー!」


どうやらこのキレモンって言う果実が隠し味に最適らしい。


高い所に生息してるが、木が入り組んでて空が飛べない為に、木登りが得意な人でないと駄目だとか。


食に対して本気になりすぎだろ…


暫くして3つ程落ちてきて、俺はそれを回収した。


「これで完璧にゃ!」


「じゃあ今夜は期待してるぞ」


「任せるにゃ!…ん?あれ何だにゃ?」


何か歩いてるのかにゃ?…あ!あの四足歩行のは!


「にゃあ~!久しぶりだにゃ~!」


「知り合いか?」


「サーベルだにゃ!ネネ達の仲間だにゃ~」


こんな所で会うにゃんて~!久しぶりの同胞だにゃ!


「…大分凶暴な見た目だが…本当に大丈夫なのか…?」


「こう見えて人懐っこいにゃ!…にゃはは~くすぐったいにゃあ~」


ヤマの意見も一理あるにゃ。でもお腹空いても繁殖期になっても絶対襲ってこないにゃ!本当に安全だにゃ!


結局ネネ達はサーベルを連れて追加の釣りする事にしたにゃ。夕食のボリュームを増やすのと、サーベルのお礼だにゃ!


今回、帰りはサーベルに乗ってく事になったにゃ~!


でもタダ乗りはサーベルも嫌がるから、追加の夕食ついでにとびきり美味しい魚を釣ってやるにゃ!


「気合い入れて釣るにゃ!」


「俺も餌付けて…ん?サーベルか?こっちに来てどうし…」


ガブッ!


「にゃ!来たにゃ!これは大物だにゃ!」


ガリッ…ゴキッ…ゴキッ…


「…うにゃあ!…餌だけ持ってかれたにゃ~」


ゴリッ…パキッ…パキッ…


「…にしても何の音だにゃ?ヤマは何か心当た…り…」


ヤマが居た筈の所には何故かサーベルが居て、その顔は真っ赤になってたにゃ。


聞かなくても分かる、これは血だにゃ。


「…サーベル…?何…してるにゃ…?」


サーベルは何かを舐めてるらしく、こっそり覗いて見たにゃ。どうやらヤマに懐いてたらしく、じゃれ合う様に顔を舐めていたにゃ。


でもそこにヤマの顔は無く、真っ赤な世界が広がってたにゃ。


「…サーベル!!止めるにゃ!!」


じゃれ合うサーベルを無理矢理引き離し、すぐにヤマの安否を確認したにゃ。…ピクリとも動かないにゃ…何寝てるんだにゃ…?


ヤマ…?ほら…起きるにゃ…ちょっと顔から血が出てるだけだにゃ…?


ネネはヤマの左胸に耳を付けて…










あの後、サーベルが気絶したネネ達をアユルまで運んだらしく、怪我したヤマを治療してくれたらしいにゃ。名前は確かコーデリアとか言ってたにゃ。


完治した後、数日の療養期間を持って、ネネ達はまたいつもみたいに依頼を受けてお金稼ぎを再開したにゃ。


「じゃあこの依頼をお願いするにゃ」


「はい、こちらですね。人数ですが一人でよろしいで…」


何言ってるにゃ…?この受付嬢、ヤマの事を居ない者扱いしやがったにゃ…!


「何見てんだにゃ!!!どう見ても二人だにゃ!!!ちゃんと見ろにゃ!!!」


「も、申し訳ございません。二人に訂正させて頂きますね」


失礼な受付嬢だにゃ。ヤマはちゃんとネネが『抱き抱えてる』にゃ。

どこに目を付けてるのかにゃ?


「分かれば良いんだにゃ。最近の依頼所はなってないにゃ。ヤマもそう思わないかにゃ?…ヤマも同じ事思ってたんだにゃ!やっぱネネ達気が合うにゃ~」


ヤマと仲良く話してたら、周りがひそひそ話を始めたみたいだにゃ。


「なぁ…あの獣人、何でぬいぐるみに話しかけてるんだ…?」


「俺が知るかよ…」


周りがうるさいにゃ…ネネが誰と話そうが勝手にゃ。お前らに言われる筋合いは無いにゃ。


それにぬいぐるみとか何言ってるんだにゃ?ここにはネネとヤマしか居ないにゃ。


ネネはあれからもヤマと一緒にいっぱい依頼を達成して、お金をどんどん稼いでるにゃ。


本当なら報酬を二人で山分けだけど、あの時の償いも兼ねてネネの報酬は殆どヤマに渡してるにゃ。


基本的にネネの取り分は食費だけにゃ。でも、ヤマにした事を考えればこれでも生ぬるいにゃ!


ヤマの夢である大きな家を買うにはまだまだ足りないけど、それはゆっくり進めてけば良いんだにゃ!


「じゃあ行ってくるにゃ!」


「お気をつけて…」






今日も疲れたにゃ~


あ、ネネの取り分はそこの共有貯金箱に入れとくにゃ。心配しなくても、パンと水と釣具があれば生きて行けるから問題無いにゃ。


それはそうと…そろそろ、もっと大変な依頼を受けても良いんじゃないかにゃ?


平和に生きてくのも悪くないにゃ。でも折角なら稼げる依頼の方がお得だにゃ!


だから明日はちょっと強いモンスターの討伐依頼が来てないか探してみないかにゃ?


…ヤマならそう言うと思ってたにゃ!明日は気合い入れてくにゃ!






「何で受けさせてくれないんだにゃ?ヤマと二人なら大丈夫にゃ」


「…いえ、人数でなく実績の少ない方には受けさせる事は原則禁止されてますので…」


まあ一理あるにゃ。身の丈に合わない依頼はどうせ達成出来ないから、受けないのが懸命だにゃ。


「分かったにゃ。じゃあこっちのゴブリン2匹にするにゃ」


「分かりました。人数はおひ…」


この受付嬢…またヤマの事を無視したにゃ…!


「二人にゃ!!!いい加減にするにゃ!!!」


「も、申し訳ありません。ではお気をつけて…」


全く…アユルの受付嬢はどいつもこいつも失礼な奴ばっかりだにゃ。


お金貯まったらアユルを出るのも検討するべきじゃにゃいか?…分かったにゃ。ヤマがそう言うならネネは我慢するにゃ。









モンスター討伐はネネ一人で余裕だったにゃ。ま、ゴブリン程度ヤマの手を借りるまでも無いにゃ。


でも折角森に来たから、今日のご飯釣りもしてくにゃ。少しでも多くヤマにお金を渡す為にも、ネネは出来るだけ節約しないとだにゃ。


「やあ、釣りかい?」


「お前誰だにゃ」


釣りをしてたら、いかにも遊んでそうな男に声をかけられたにゃ。


何を言われてもネネはヤマ以外に着いてく気は無いにゃ。だからこんな奴興味無いにゃ。


「どうだい?一人みたいだし、良ければ一緒に行かないか?ちょうど一人だったんだ」


「誰が一人にゃ。ここにヤマが居るにゃ!」


「…いや、それぬいぐるみじゃん」


何でみんな…みんなヤマの事をぬいぐるみとか居ないとか言うんだにゃ!!


ヤマはちゃんと生きてるにゃ!!!


「そんな変なぬいぐるみは捨てなって!」


「にゃっ…」


こいつ…何したにゃ…?


ヤマをぶん殴ったのかにゃ…?


許せないにゃ…


許せない…許せない…!許せない!!


「ほら、一人で釣りしてないで俺と…」


「ネネのヤマに触るにゃああぁぁっ!!!!」


「うわっ!」


こいつのせいでヤマは…!…今はそんな事どうでも良いにゃ!とにかくヤマを助けないとだにゃ!


「ヤマ!大丈夫かにゃ!?怪我してないかにゃ!?…良かったにゃあ!心配ないにゃ、ネネは何時でも一緒にゃ…」


そう言ってネネはヤマを抱き締めたにゃ。あぁ…体に少し傷が付いてるにゃ…帰ったらちゃんと治してあげるにゃ!


「何だこいつ…」


…こいつ…まだ居たのかにゃ?


「…とっとと消えるにゃ」


「は?」


もう容赦しないにゃ…こんな奴…ネネとヤマの間に…要らないにゃ…!


「ヤマを苛める奴はみんな敵だにゃああぁぁっ!!!!さっさと消えるにゃああぁぁっ!!!!」


「う、うわあああ!!!!」







はぁ…はぁ…ちょっと汚れたにゃ…もう釣りは止めて帰るにゃ。


ヤマも血で汚れてるにゃ。ネネが洗ってあげるにゃ!…遠慮する事無いにゃ!ネネがピッカピカにしてあげるにゃ!







さっぱりしたにゃ~…ちょっと話を聞いてくれるかにゃ?


ヤマ…ネネが何でお風呂入ろうって言ったか分かるかにゃ…?


ネネは…ヤマが好きだにゃ…人間と獣人の恋愛って…やっぱ変だにゃ…?


え?ヤマも同じ気持ちだったのかにゃ…?やったにゃ!ネネ達、両思いだったにゃ!


ならこれからやる事は一杯あるにゃ!お金やお家もだけど、周りの挨拶とかお料理とか…覚える事も山積みだにゃ!


何年かしてちゃんと大人になったら、一緒に暮らして、一緒に依頼達成して、毎日一緒に寝るんだにゃ!


「ヤマ…ネネとヤマはずっと一緒だにゃ。今も、これからも…」


ヤマを強く抱き締めると、心がぽかぽかするにゃ。ネネは…ヤマ無しでは生きてけないにゃ…


「もう絶対離さないにゃ♪」

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