18話 罠
ドスンっ
下の空間へと着地した。だが、
(ルーティは見当たらない、どこかに連れられたか?異界内だから僕がこじ開けた穴と彼女が落ちた穴でたどり着いた場所が違った可能性も)
焦る精神を落ち着かせ、冷静な対処を練る。
(彼女の気配を五感で捉えろ。今の僕の解放状態なら異形化させた両腕だけでなく五感もそれ相応に上昇しているはずだ)
地面に手をつき、全身で異界の中の状態を広範囲で探る。
………………………………どこだ………………………………………………………………どこだ………………………………どこだ………………………………いた!!!
(結構、離れた位置にいるが追いつけない距離でないっ!)
瘴気がより濃い部分へは彼女がいる方が近い。やはり下が正解ルートだったらしい。だからといってピンチには変わりないのだが、
そのまま彼女の元へ駆けつけようとダッシュしようとするが、
びちっびちちちちちっびたったたびたたたたた
「………………………………今の僕が言うのも何だけど、君たちのボスはまともじゃあないな」
背中から触手をだし口から手を生やしたもの、骨格が四足歩行動物そのものになり床に届くような牙を生やし飛び掛かるように手をついたもの、手足が異様に細長くなった上に鉈のような刃物と一体化したもの
明らかに上の階層の構成員達より異形要素が強くなった怪物が行く手を塞ぐように現れていた。
「ぐるるるるるるるる」
唸って威嚇している。僕にとっては幸いにも知性はあまりなさそうだ。
「悪いが君たちに時間はかけてられないんだ。怪物同士さっさと殺しあって終わらせようか」
その言葉を皮切りにまず、四足の妖が飛び掛かって噛みついてきた。
「ふっ!」
左腕で受けて妖を噛みかせたまま地面へと叩きつけようとすると、
ヒュバッ
「っく!」
触手が伸びてきてこちらの手足を捕まえ、残った細長い妖が一体化した鉈で切り付けてきた。咄嗟に回避行動はとったが腰から腹にかけて切り裂かれる。
腕を振り回し何とか触手は振り払うが、四足の妖には逃げられてしまっていた。
「まずは妨害担当のお前から潰すっ」
今度はこちらから右腕を空に広げ爪で切り裂くように触手の生えた妖に襲い掛かる。触手が体にまとわりつくが爪で切り裂く方が早い。
四足の妖はとびかからろうと前腕と肩を下げている、細長い妖は速度に追いつけていない、
(行けるっ)一体を仕留められることを確信したその時、
「げあっ」
四足の妖が唾?を吐き捨てて左脚へとかかる。無視して攻撃を続行するが、じゅおっ
「ぐっ?んんがっ」
唾のかかった左脚が焼けただれていた。それによりバランスを崩し、爪の攻撃から四足の妖を外してしまう。
こちらが体勢崩した様子を見ていた細長い妖がまた切りかかってきたので右腕を横なぎに振るい遠ざける。再度、3体の怪物と1体の怪物がにらみ合う構図が出来上がった。
(振り出しに戻ったか、こちらのダメージの方がデカいな…過負荷解放中だから再生は始まっているが多用はできない…)
こちらの思考がまとまる前にまた四足の妖が飛び掛かってきた。
今度は左へ回避、触手と鉈がすかさず襲い掛かる。
「ならばこうだっ」
腕を伸ばし細長い妖に切り刻まれながらも右腕で胴体を掴む。
「ぎいいいいいい」
叫びだしたがもう遅い。バックステップで触手を回避。掴んだ胴体から少し手を下にずらして持ち上げ、そして細長い妖をバットのように四足の妖を殴りつけた。
ガスッゴスッガスッゴスッ
動かなくなった所で左腕で四足の妖を掴みそのまま触手の妖へ向けて力の限り投げつけた。
「ぎいあああああ」
勢いは触手の妖にぶつかった時に止まらずそのまま壁へと叩きつけられる。
「まだまだ!」
右腕に残っていた細長い妖を追加で2体の妖へと向けて投げつけた。
ぐちゃっ
嫌な音がして3体の動きは止まった。
「はあはあ」
肩で息をしながらここで思いのほか時間を食ってしまったことに焦りを覚えながらルーティの気配を追おうと動くが、
べたびたたっべたびちゃ
「ぎしゃああああああああ」
今度は更にさっきと似たタイプの妖が9体行く手を塞いでいた。
「…………ルーティを助ける前に僕が死にそうだな、これ」
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