第10話

「ハッ」バシッ バッ バッ


はぁはぁ前世ぶりの久しぶりの手合わせ、やっぱり兄は強いわ。


「今日はここまでだな」兄は軽く汗をかいている程度。


「しかし、ここまでやれるなんて凄いぞシア」褒められてもな~全然敵わなかったんだよね


「これなら何かあっても対応出来るだろうが無理はするなよ?」


まだ息が切れて返事もできないから頷く。


「さぁ朝食の前に汗を流そう」と手を引かれて邸に戻る。


朝食を食べたら登校だわ。


馬車に乗り込むなり兄が「シアの育った世界は剣技にしても、体術にしてもレベルの高い教育を学ばせるんだな」

「違うの。前にも言ったけど、身を守るために受けさせられた教育なの。実際誘拐されかけたこともあるからね」

わたくしが答えると兄の顔色が変わった「絶対に1人で出歩くのはダメだ!絶対にだ!」

いやいや兄よ、貴族の令嬢が1人で外出するわけないじゃん!

「大丈夫です。分かっていますわ」と安心させるために微笑む。



兄と別れたあと、またナタリー様がドヤ顔で現れた。


ハイハイ昨日の報告ね。


「おはようございます。アリシア様」

「おはようございます。」

「昨日のカイト様はとっても優しくエスコートして下さったの。楽しい時間を過ごせましたわ」

「そうですか、よかったですね。では失礼します。」


やっぱり報告だったわ。

何で態々わたくしに言いに来るのかしらね?

勝手にイチャイチャしてればいいのに。



一応ユリアとイザベラにも報告する。

2人も「彼女何がしたいのかしら?」と首を傾げる。わたくしも一緒に傾げる。



ちなみにこの王立学園は16歳~18歳までの全ての貴族の令息令嬢が通うの。

クラスは成績順にAクラス~Cクラスまである。

わたくしも兄もAクラスよ!


カイトも同じクラスね。

意外にもカイトは頭も良いし、顔もイケメンの部類には入るからモテるのよね。

次期公爵だしね!

ただ性格が残念なのよ、それでもいいとカイトに群がる令嬢は多いの。

まぁ選ばれれば公爵夫人の座を手に入れれるものね。


残念になるのはわたくし限定かもしれないけどね!

余程わたくしが気に入らないのよ。

幼い頃には何度泣かされて、何度兄と幼馴染みのジーク兄様に助けられたことか。

その頃から兄は素敵だったわね。

これからはカイトには塩対応でいくわ!


わたくし達の年代は婚約者の決まっていない令息令嬢は多い。


王家の王太子殿下20歳には他国の王女が嫁いで来るのは決定しているが、第2王子18歳、第3王子15歳には婚約者がいないからだ。


令息はともかく、令嬢たちは良縁を掴もうと頑張っているようね。


わたくしにも兄にも婚約者はいないけど、わたくし結婚願望がないのよね~

前世を思い出してからは特にね。

だってやりたい事が沢山あるもの。


父も兄もずっと公爵家にいることを望んでくれているし、前世でいう引きこもりも許してくれそうなの。

だから、親から結婚を強制されることがないから安心ね。





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