第9話

「シアが前世で身に付けた技術は凄いなあんなに研ぎ澄まされた剣筋なんて騎士学校の奴にもなかなかいないぞ?」

また目がキラキラしているわ。

「前世で身を守る為に身に付けましたが、体を動かすのは元々好きだったんです。でもどちらかというと体術の方が好きですよ。今度手合わせお願いしますね。」


「体術?シアが?危ないだろ?怪我をするかもしれないぞ」

「襲われた時の為なので必要ですよ?」

「それはそうだが・・」

黙って考え込んでしまったわ。

考えが纏まったのか暫くすると

「うん!そうだな、いつも私が側にいるとは限らないし、必要になる時があっては困るが無駄ではないな」と認めてもらえた。

この受け入れてくれるところが有難いと思う。

兄に感謝を伝えた頃に学園に到着した。


兄に手を引かれ馬車から降りる。

同じ校舎なので毎回入口までは兄に送ってもらうの。



ユリアとイザベラと挨拶を交わし予鈴までは

お喋りして過ごした。


やっぱり勉強自体は困ることないわね。

前世では自慢じゃないけど一流と言われる大学だったからね。そんなこと今世では関係ないけど!


一応1人にならないようにトイレも一緒に行ってもらってるけど、クラスも違うからか彼女ナタリー様に会わないわね。

会わないに越したことないけど、いつでも迎え撃つ気満々だったから肩透かし食らったみたいだわ。



なんて思ってたからかしら、目の前には何故か勝ち誇った顔のナタリー様。


「アリシア様ご機嫌よう」

「ご機嫌ようナタリー様。どうかされましたか?」

「ふふっ、今日の放課後カイト様と2人で人気のカフェに行きますのよ」


自慢げに言ってるけどカイトと出掛けるからってなんなの?知ったことじゃないわ。

「そうですか、楽しんで下さいね」

ニッコリ微笑んでおく。

「それだけでしたら失礼しますわ」


ホント何なの?そんな報告いらないんだけど・・

「今の何?」

ユリア、イザベラに聞いても「さあ?」と、首を傾げるだけなんだけど。


確かにカイトとは幼馴染の部類に入るけど、イジワルはされても仲良く遊んだ記憶もないし、今だって嫌味を言われることがあっても親しく交流があるわけでもないんだけどね。


!カイトがわたくしに思いを寄せてるとナタリー様に勘違いされてるの?

だから、いつも絡んでくるの?

カイトがわたくしを?・・・ナイナイそれだけはないわ~


カイトも黙っていればそれなりにイケメンなんだけど口を開くと残念な人になるのよね~

偉そうだし、態度も大きいし、いつも上からだし、あら?褒めるところないわね。


兄を見習って欲しいわ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る