第8話
出迎えてくれた両親にサロンでお茶を誘われた。
着替えてから両親の待つサロンに行く。
中に入ってギョッとしたわ。
だって兄が身振り手振りで【スエット】もどきを披露してるんだもの。
だから、部屋着なんだってば!
貴族の令息が着て邸内をウロウロしないで~
両親にまで【スエット】もどきを催促されてしまったわ。
1人で作るには無理があるということで、母の経営するドレスショップで作ってもらうことになったの。
だったらデザインも付け加えて、生地も選ばせてもらうわ。
モコモコパーカーなんて可愛いでしょ?
モコモコがあるかは知らないけどね。
それから学園では何事もなく過ごせたことを伝える。
両親のホッとした顔を見て心配させてたと思った。
それと、明日から兄と一緒に公爵家騎士団の訓練に参加させてもらえるようにお願いしたの。
両親も兄もびっくりはしていたけど、前世である程度、経験があることは話していたからか止めらることはなかったわ。
まずは基礎体力をつけることから始めてどこまで体が動くか試さないとね。
日が昇る前から兄が幼い頃に着ていた服に着替え訓練所に向かった。
騎士の皆さんに軽く挨拶を済ませ、訓練所の端っこを借りて柔軟から始めランニングをする。
意外や意外、息切れもしないのには自分でもびっくりだわ。
今世では運動といえばダンスの練習ぐらいしかしてこなかったのに。
これは前世の体力がそのまま継続してるってこと?
試しに、木剣で素振りをしても少し重く感じるだけで違和感なく振れたわ。
隣で自主練してるはずの兄は手を止めてわたくしをガン見してるわね。
ここまで動かせられるなら明日からは体術の方をやっていこう。
貴族の令嬢が剣を使うような場面もないだろからね。
動かない兄の手を引いて邸に戻ってから軽く汗を流して食堂に向かう。
扉の外からも兄の興奮した声が聞こえてくる
「おはようございます」挨拶を済ませても兄は止まらず。
「シアは天才だ!舞うような剣技だったんだ!」
兄よもう止めて?あなた17歳よ?目がキラキラしてるわよ?
「な!シア!」
わたくしに降らないで?
誰か兄を止めて~
両親も兄の勢いにちょっと引いているわね。
「さ、さあ食べようか」終わらせてくれて父よありがとう
まだ何か言い足りなさそうな兄だけど大人しく席に着いた。
今日から両親は視察で2週間ほど留守になる。
領地までは2日も馬車に揺られれば着くが、なんせ広大な領地だけに回るとなるとかなり時間がかかるのよね。
家族の前ではこんな兄だけど実際はかなり優秀。
外では次期公爵家当主としての威厳もあり、眉目秀麗、頭脳明晰な自慢の兄である。
黙っていれば見た目がキツい分、近寄り難く見えるが面倒見の良さから友人たちに囲まれて笑っているのをよく見かける。
そう!よく笑うのよ!
笑うと目尻が下がって実年齢よりも幼くなるの。そんな兄は女生徒にも大人気なの。
今世のわたくしだって外では高位貴族の令嬢らしい振る舞いをしているけど、家族の前ではかなり砕けていたわよね?そこに前世の記憶が入っても、そう変わらないと思ってたのに家族には速攻でバレたのよ。
それだけ両親も兄もわたくしの事をよく見てくれてたってことなんだよね。
感謝しないとバチが当たるわ。
食事が終わると両親には気を付けて視察に行ってきてと挨拶して登校よ。
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