第13話 開運お札
開運のお札というものがある。持っているだけで幸運が舞い込むというお札だ。
オカルト的に言うと福は自然に湧き出るものではない。それは消耗される資源なのだ。従って、運が良くなるお札というのはオカルト的には成立しない。
では七福神などはどうだ、彼らは福を振りまいているではないかと思う向きもあるかもしれないが、福の神は裏では悪神の面を持っており、地方によっては七悪神と呼ぶところもある。つまりある地方で吸い上げた福を他の地方でばら撒いて人気取りをしているに過ぎないという構図がある。
だが、である。実際に持っているだけで運気が良くなりお金が儲かるような札は実在する。これはいったいどういうことなのか?
実はこれにはカラクリがある。
この手の「幸せの」グッズは、大概が所持者本人の徳を福に変換する魔術が掛かっている。
徳というのはあの世に蓄積しているその人の名義のお金のようなものだと思えばよい。その徳をこの世の福に換金しているに過ぎない。言わばこれはキャッシュカードのような働きをして、本人の貯金を下ろしているわけだ。
これらの徳は本人の善行により蓄積されているもので、命に係わるような危険が迫って来たときにはこの徳が使われる。その肝心の徳が尽きていると、交通事故に遭えば致命傷になるし、かかった病気はたちまちにして悪化する。神仏も徳を持たない人間は助けてくれない。
開運のお札の怖さが多少はお分かりになられたであろうか。
世の中にはそこまで旨い話は無いのである。
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