第9話 神仏の立場
神仏は人間の頼みをなかなか聞いてくれない。
その大きな理由は彼らの死生観である。
神仏に取っては人の生き死にというのは、人間に取っての寝る起きる程度の重要性しかない。輪廻転生を司る立場にあると生死は恐ろしく軽いのだ。
眠りたくないと大騒ぎするのは幼児の我がままであり、起きたくないと駄々を捏ねるのはただの怠け者なのだ。
翻って人間の望みの一番大きなものは生きたいという欲である。そして二番目の望みはより良く生きたいという欲である。
神仏に取っては、え?と思わせる望みである。
そんなものが欲しいの?
魂の清らかさとか心の強さではなく?
偉業を成し遂げるとか、大義に殉ずるではなく?
ただ眠りたくないとそれが望みなの?
このように神仏と人間というものはどこまでも分かり合えない存在なのだ。
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