第7話 魔女たち

 1951年に、かつての魔女狩りの根拠となっていたアンチ・ウイッチクラフト法が英国で廃止された。

 アメリカの州法で最後の魔女狩り法が廃止されたのはわずかに四十年前のことである。それまでは形骸化はしていたが魔女の容疑で逮捕され処刑されることも十分にあり得たのである。


 魔女とはキリスト教に関わる言葉なので日本ではまあ滅多に聞くことがない言葉でもある。

 魔女(ウィッチ)というのは性別に関係なく悪魔崇拝者を示すのに使われる言葉である。男性の魔女一人を中心に置き、周囲に十二人の女性魔女を配してグループは構成される。

 その目的は神を憎み、あらゆる悪を成すこと。サバトの夜には乱交乱痴気麻薬騒ぎを行い、悪魔を召喚しようとする。遊びとしてやっている者からガチでやっている者まで様々である。

 問題はここにある。遊びでサバトに誘われて、いつもの乱交パーティかと思って参加した人間が殺人を強要され、それで脅されてそのまま悪魔崇拝者になっていることも多い。こうなるとカルトに近づくまいとしている人までも巻き込まれることになる。つまりは根が深いのである。



 魔女たちは果たして滅んだのか?


 もちろん占いやスピリチュアルなどを行う現代の魔女というのもいる。彼らは霊的な世界で生きることに目覚めた真面目な人たちであり、魔女という言葉のイメージからは遠い人たちである。だがここで触れているのは黒魔術に関係する魔女たちのことである。ソ連の時代には国家公認の魔女という職業すらあったが、これも除こう。


 悪い魔女は滅んだのか?


 彼らは実は密かに世界中に根づいているのである。

 その遠因はWW2の時代に大流行したアントン・ラヴェイの悪魔教会であり、世界全国に数十万の信者を作った後に教祖の死とともに弱体化、その後、それらの分派を世界各地に残したということにある。太陽寺院の事件を起こした連中もその流れだと言われている。


 カンザス地方ではごく普通の人妻たちが隠れて魔女をやっていることが以前問題になっていた。

 彼女たちはガチの魔女である。

 他人の赤ん坊を攫い、秘密のサバトでそれを解体してスープにする。

 これを捜査しようとした保安官が一家丸ごと惨殺されるなど、裏では凄まじい戦いが繰り広げられている。



 実に不思議だ。善に魅力がないことは分かるが、悪とはそこまで魅力があるものなのだのだろうか?

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